笑って笑って健康に!『プラザ寄席』で生落語を楽しむ

寄席お題目

イベントレポート

寄席は、富士地域の文化施設の多くで定期開催される人気の演目。昨年はコロナにより各種公演の中止が相次いだものの、感染対策により安心して楽しめるようになってきました。そんな寄席公演のようすを、当紙新参の文化系ライター佐野一好がレポートします。

ある調査によると、笑いは若さに関連があるそうだ。子どもは1日に300回以上笑う。ところが大人は20回以下らしい。たしかに最近、マスクに隠れて仏頂面が多いかも。マズイ、もっと笑おう!タイミングよく、去る6月20日『プラザ寄席』を訪ねることができた。

プラザ寄席は富士市交流プラザで定期的に開かれる落語のイベントだ。この日が待ち遠しかったせいか、会場の富士市交流プラザへ近づくと、頭の中で開場を告げる一番太鼓がにぎやかに響いた。

コロナ対策のため、チケット裏へ名前などを事前に記入。入場時にはマスク着用、検温、アルコール消毒。また400席の座席数は半数に制限され、十分な換気、長い仲入り(休憩)などの対策も。そうまでして開催する理由を訊くと、富士市交流プラザ担当の藤川さんは「落語は暮らしを潤す伝統演芸の一つ。昨年は中止でしたが、市民から再開の要望が多数寄せられたんですよ」。なるほど。こんなときこそ明るく笑って前向きに。噺家さんを応援する意味でも対策を講じての開催に賛成だ。

プラザ寄席客席

 

受付で座布団を無料で借り、高い天井の下、シアター並みのイスで開始を待った。座り心地がよく、ヒザも腰も痛くなりそうにない。高座には出演者のメクリや座布団などがセット済みだ。お客さんは落ち着いた雰囲気で、カップルや女性同士も多い。さて本日のお題目は?

イスの上の座布団

イスの上に座布団を敷く

 

開演のブザーの後、軽快な出ばやしをバックに金原亭馬生(ルビ:きんげんていばしょう)さんが登場した。静岡県が大好きだそうで、「なぜなら美人が多いから」とさっそく客席を沸かせる。最初のお題目は『代り目』。酒好き亭主と女房の人情味ある掛け合いを、面白おかしく江戸弁で。時節柄、つばを飛ばさぬよう、マスクのなかで何度もアハハ……と笑った。続いては金原亭馬玉(ルビ:ばぎょく)さん。お題目は『そば清』。そば好き清兵衛が最後にドロンと消える古典落語だ。扇子を箸に見立ててそばを食う。その仕草や食音がとてもリアル。客の想像力はどんどんふくらむ。多目的ホール全体がにこやかな雰囲気に包まれ、なんとも愉快だ。

英語には“Laughter is the best medicine”(笑いは最良の薬)ということわざがある。人生100年時代。笑って笑って若々しくいられるならこんなに幸せなことはない、なんて仲入り中に思った。

その仲入りの後、馬玉さんが再び登場し『子ほめ』を。そしてトリは馬生さんで『抜け雀』を巧みな話芸で約30分。名人芸に幸せホルモンがひたひたと増えてくる気分だ。一つ前の席でも男性が肩で笑っていた。盛りだくさんの落語会は、歌舞伎のパロディー『茶番』や、お座敷芸の『かっぽれ』もあり、お楽しみ抽選会、最後にみんなで三本締めも。富士市天間から来場の女性は「ここへは何度も来ています。でも茶番もあって今回が一番よかったかも」。歩いてきたという男性は「遠くまで行かなくても近くでいいよね」。たしかに富士市内で本場の落語ライブが観られるのは好都合だ。

どんな時代にもやっかいなことはある。でも、落語はある種のセラピーで、健康的な笑いはコロナ後も人々を癒してゆくのだろう。
身も心もほぐされて帰宅した。また行きたいと思わせる充実の約2時間。今後の予定は当紙『イベントざんまい』や広報ふじ、富士市交流プラザのホームページなどで。

(ライター/佐野一好)

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