【沼津】レストランテ『PILIPILI(ピリピリ)』で異国の家庭料理を普段着で!

異国情緒溢れる外観

すてきなお店探訪

多国籍料理のレストランテ『PILIPILI(ピリピリ)』は、沼津駅北のリコー通りを東に少し入った沿道にある。甘辛みそダレで食べるベトナム風生春巻、コロッケに似たケニア風サモサ、歯ごたえのいいメキシカンタコスなどの家庭料理を手ごろな値段で堪能できる。サンタフェ風の外観から若者向けのこじゃれた店かと思いきや、オーナー夫妻の人柄どおり、誰もがかしこまらずに普段着で異国料理を楽しめる場所だった。

元グラフィック・デザイナーの渡部幸彦(わたべゆきひこ)さんと南伊豆の旅館の娘でコックだった妻の恭子(きょうこ)さんが沼津に同店をオープンして早26年。幸彦さんは「若いころはお金が貯まると年単位で休職し、メキシコ、コロンビア、アフリカなどを放浪した」という経験豊富なバックパッカー。恭子さんはトライアスロンが趣味で、山ならヒマラヤが合言葉、欧州などを徒歩や自転車で旅したことがあるという。店内を見渡すと、中南米などの色鮮やかな絵皿、素朴な木彫りのオブジェ、古布、アフリカ絵画のティンガティンガが飾られている。実際に料理に使用するのはメキシコで買いつけてきた陶器皿だ。赤と白のギンガムチェックのクロスがかかるテーブル席で食べていると、陽気なマリアッチのリズムなどが小さなBGMで聞こえて楽しい。

 

PILIPILI店内

居心地の良い店内

 

平日ランチはサラリーマンやOL、土日は昼も夜も幅広い年齢層が訪れる。インドカレーを好んで注文する小学生もいるそうだ。メニューは多種あり、チキンのガーリック焼き、マレーシア風骨付きチキンカレーなどのほか、スパゲッティボロネーゼなどお馴染みの料理でも一味違った美味しさ。ランチや単品料理のほかにコースもある。スワヒリ語で唐辛子を意味する『ピリピリ』から、スパイシーな辛さを連想するが、味付けはほどよく、塩分はひかえめ。取材時はタイ風グリーンカレーをいただいたが、メキシカンブルーが鮮やかな陶器皿には、鶏肉、ざく切りのパプリカ、ナス、玉ねぎなどの具がたっぷりと入っていて、野菜のうまみが煮込まれたココナッツミルク風味の辛さはクセになりそうだった。

 

PILIPILIタイ風グリーンカレー

タイ風グリーンカレー

PILIPILIベトナム風生春巻

ベトナム風生春巻

PILIPILIケニア風サモサ

ケニア風サモサ

 

旅先で出会った人々から調理法を伝授された幸彦さんは、「海外の家庭に居候したときなどに教わったんです。当時メモしたレシピノートがこれです」と、古びた一冊を見せてくれた。青年時代の貴重な一人旅の記録が料理のレシピだなんて!そして今でも再現できるなんて!とてもうらやましく思えて、コップの水を一口飲んでからじっくりとのぞかせていただいた。料理名、材料、手順がペン書きの絵と文字で詳細に記され、それらは幸彦さんの青春の宝物だろう。そうしたレシピとはまた別に、「料理修業や買いつけのために中南米などを訪ねてもいる」との話もきいて感動した。

 

レシピノート

旅先で記したレシピノート

 

エスニック料理に詳しくなければ、接客をおもに担当する恭子さんに尋ねながらメニューを決めたらいいだろう。その恭子さんが各国を旅して感じたのは、「美味しい飲食店がたくさんある日本だけど、各国の本当に魅力的な料理を取り揃えて提供すれば、お客さんに何度でも足を運んでもらえるお店にできるのでは」という思いだ。じつは東京の有名インド料理店『アヒリヤ』は恭子さんの義兄が経営しているそうで、そこから仕入れる上質なスパイスも使っている。この日は子育てを終えたと思われるご婦人グループのほか、一人で食べに来た男性客が数名、各自くつろいでいた。友だちや家族、一人でも、こじんまりした店だからこそ落ち着ついて食事ができる。旅好きのご夫妻との出会いが、味な世界を広げてくれる。

レストランテPILIPILI(ピリピリ)

沼津市北高島町4-35
TEL:055-922-9232
営業時間:ランチ 11:30~14:40  ディナー 18:00~21:30
定休日:火曜・第3水曜
駐車場3台

渡部幸彦さん恭子さんご夫妻

渡部幸彦さん恭子さんご夫妻

(ライター/佐野一好)

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