学び楽しむ、一万歩ウォーキングを体験。

赤い鳥居が並ぶ三重稲荷

お出かけレポート

コロナの第5波がやってきて人が集まるイベントが難しくなっているこの夏。一人でも楽しめてしかもよい汗のかけるアクティビティを、数年後に還暦を控える外歩き好きライター・佐野一好がレポートします。

富士市内には歩く健康づくりを推奨するため、史跡や伝説の地などを紹介した『一万歩ウォーキング』コースが多数ある。昭和61年度に最初に設置されたのは伝法地区の『ふる里コース』約7kmだが、今回は『雁堤(かりがねづつみ)』で知られる岩松地区の『治水の歴史コース』約5.6kmへ出かけた。

岩松小学校に隣接する岩松まちづくりセンターを出発し、東へ向かって緑色の通学歩道を進むと、最初の目的地『瑞林寺(ずいりんじ)』の看板を見つけた。少林寺のような、中国色が漂う切妻屋根の山門を仰ぎ見て、茶色い太鼓橋を渡り、境内の竹林にそよぐ風の音をきき、鐘楼の前で汗をぬぐった。スマホを取り出し、瑞林寺の歴史をひもとく。禅宗に属す黄檗宗(おうばくしゅう)のこの寺は、国の重要文化財・木造地蔵菩薩坐像がご本尊だそうだ。水筒の麦茶を飲んで再び東へ歩き、雁堤を完成させた古郡氏の墓参りをした。続いて身延線に沿って柚木駅まで南下した。蒸し暑く、帽子とハンドタオルを持参してよかったとふと思う。ここまでで約2千8百歩。富士自動車学校を右に見て、今度は旧国道1号線を西に向かって歩き出した。

『治水の歴史コース』看板

『治水の歴史コース』看板

瑞林寺の山門

瑞林寺の山門

途中でサッポロの星を発見

途中でサッポロの星を発見

橋下の交差点をすぎてから、黄色い案内看板を探した。すぐ西に土手があり、その土手が雁堤だ。が、コースはもっと南へ下るようだ。旧国1の歩道橋を渡り、迷いながら、ようやく『三重稲荷』を見つける。赤い鳥居が並ぶこじんまりした神社で、帽子を取って疫病退散を祈願した。すると気分がすっきりしたから不思議だ。続いて、富士川鉄橋の下をくぐり、そのたもとにある『水神社』を訪ねた。

地元の人に『すいじんさん』と呼ばれる境内に着くと、人の気配はなく、静かな空気が流れていた。大クスノキのこずえが空に向かって高い日よけとなり、ずっと太陽にあぶられてきた身には周囲の緑がありがたかった。富士川の守り神である水神社の社殿は、雁堤の完成を祝いやはり古郡氏が造営したそうだ。かつてここが渡し場であったことを記す『富士川渡船場跡』の碑があり、そのとなりに富士山詣をしのばせる『富士山道』の道標が並んでいた。

さて、この一万歩ウォーキングもそろそろ終盤だ。水神社から東へ伸びる散歩・ジョギングコースへ進むと、そこはすでに雁堤だった。富士川の水害を防御する堤には、曲がり角に『護所神社』があった。地元の人々に愛されているらしく掃除が行きとどいている。堤を守る人柱として、行きずりの僧侶が土中に埋められた往時をしのぶ碑があった。境内にはセミ時雨が響いていて、しばし旅の僧侶の心情を思って合掌した。春はソメイヨシノ、秋はコスモスが咲き誇る雁堤は富士山のビュースポットとしても有名だ。この日は家族連れが芝生広場でボール遊びをしていた。だれの畑か、赤いカンナの咲きあとがあり、その花を左に見て細坂を下った。歯科医院のある路地を歩き、やがて岩松まちづくりセンターへ帰りついたとき、歩数は1万歩弱。史跡などが学べるこの他の『一万歩ウォーキング』コースも、一年を通して楽しみたい。

赤い鳥居が並ぶ三重稲荷

赤い鳥居が並ぶ三重稲荷

水神社で見つけた石碑

水神社で見つけた石碑

雁堤の護所神社

雁堤の護所神社

(ライター/佐野一好)

一万歩ウォーキング『治水の歴史コース』

1 岩松まちづくりセンター → 2 瑞林寺 → 3 三重稲荷 → 4 水神社 → 5 雁堤 → 1 岩松まちづくりセンター

※『一万歩ウォーキング』の詳細は富士市ホームページほかで調べられます

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