【新連載】子猫園日記

子猫園

新連載、本紙Vol.171に登場した保護猫活動家・赤石朔さんのコラムです。
小さな命と向き合う毎日。保護猫活動の現場を綴ります。

2匹の保護猫の里親になったのがきっかけで、猫たちを取り巻く過酷な現状を知り、自分にできることを考え立ち上げた子猫園。出逢った子猫たちは愛しくて尊い。だが周りにいる心ない人間の存在に、悩まされることも多く、問題は根深い。人や行政を変えることは難しい。だからこそ、目の前にいる命に真っ直ぐ向き合っていこうと思う。命を救うことに理由なんてないのだ。

今年度も、春の出産ラッシュで子猫たちが入園した。猫は多産なので、4匹から6匹の兄妹が一緒に保護されることがほとんどだ。五つ子チームは地域猫でなかなか捕獲ができず、出産を繰り返していたお母さんが生んだ子どもたち。餌やりさんの情報のもと、TNR(※)ボランティアがチャンスを見つけて捕獲。生後4日の五つ子は子猫園で保護した。まだ目も開いてなくて、へその緒も付いていた。

命名「結久(むく)」「稀(まれ)」「粋(すい)」「凪(なぎ)」「紬(つむぎ)」、体重は134グラム。開いていない目の奥に膿が溜まり、開眼していないため、膿の出口がなく、まるで出目金のように腫れ上がった。2時間おきのミルクと排泄のお世話をしながら、お湯を浸した柔らかなガーゼで優しく目を拭く。保護して4日目、開眼と同時に膿が出た。ひと安心したのも束の間、一斉にミルクの飲みが悪くなり、体重が増えなくなる。下痢が始まる。ミルクを飲まない、下痢、体重減少。これだけで命取りになる。医療にかけてもできることは輸液くらいで、24時間体制で見守っていく必要がある。一滴一滴ミルクを含ませながら祈る。「生きて!」と。

 

ミルクを飲む子猫
朔くんと子猫

 

いつからか、小さな命に「頑張って」と言えなくなった。抱きしめて「大丈夫だよ」と声をかける。五つ子は少しずつ元気になってきた。その間も入園が続き、子猫園は猫だらけ。在園児は40命になった。

家族とボランティアさんの協力を得て大切に育てた入園20日の深夜、「粋」が急変。学校へ行く前に抱きしめたのが最後のお別れになった。突然の死。何が足りなかったのか?もっとできることはなかった?

悔やみ、力のなさを痛感する。願っても叶わないことがある。小さな命が問いかけるメッセージは何だろう?未熟な自分の手の平で眠る魂は、美しく汚れなくすべてを受け入れている。

※TNR……「Trap(捕獲する)」「Neuter(不妊手術)」「Return(元に戻す)」の略。殺処分ゼロを目指し、繁殖を抑制しながら地域猫として一代限りの命を見守る活動。

赤石朔さんプロフィール

赤石 朔

保護猫活動家
あかいし さく/保護猫ボランティア団体『ベルソー・デ・シャトンズ』広報担当。2008年富士市生まれで、現在(執筆当時)は富士市立富士中学校2年生。生まれた時から猫とともに暮らし、猫の幸せを願う気持ちと鋭い観察眼で、保護猫たちの体調変化を見逃さない。命をテーマとした学校講演やイベントでの啓発活動など、多方面でメッセージを届けている。

保護猫譲渡会のお知らせ

毎週日曜日に譲渡会を開催しています。
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子猫園ベルソー・デ・シャトンズ
富士市本市場128-1
TEL:080-4929-0117(赤石)

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