牧野満徳さんの絵、もう見ました?

浮月楼の牧野満徳展示

お出かけレポート

本紙Vol.156(2019年12月号)でご紹介した、世界の美術界から注目される洋画家で富士山画家の牧野満徳さん。取材時の下調べにあたっては事前に絵を見られる場所がなかなかなくて苦労しましたが、この3月に立て続けに2ヵ所も常設場所ができたと聞き、覗いてきました。

ひとつめは富士市厚原の環境技研内にできた『牧野満徳富士山館』。館長の水野進二さんは、以前より牧野さんの絵の魅力と観光資源としての可能性に惚れ込み、後援活動に取り組んできた方です。今回、後援会事務所を作るにあたり「どうせなら一般開放して情報発信の拠点に」と考え、資料館というかたちに至ったそうです。水野さんの本業は工場などの環境対応を支援するお仕事で、地元の自然への思いが牧野さんの絵に通じるところです。

水野進二さん

水野進二さん

 

展示室内には牧野さんの絵画のほか、その活動の全容が分かる資料も並べられています。今後も部屋を改装して展示を増やしていくとのこと。

牧野さんの活動資料

富士山館の壁に飾られる牧野さんの活動資料


そしてもうひとつが、徳川慶喜公のお屋敷として知られる由緒正しき料亭、静岡市葵区の『浮月楼』。美しい日本庭園を眺めるギャラリー館2階に展示スペースが設けられています。

考えてみれば前回の取材のときはご本人のほうが主役。絵はその小道具だったので、作品そのものをじっくり鑑賞していませんでした。いや、見ていたつもりではいたのですが、落ち着いた場所であらためて味わってみるとまた違うものが見えてきます。

浮月楼常設展。

浮月楼の日本庭園 を見下ろす一角に 常設展。


浮月楼の庭

浮月楼の庭

 

私は美術については素人なので世界の専門家が注目している技法的独自性について語ることはできませんし、好みを語れるほど目が肥えてもいませんが、個人的には牧野さんの作品の特徴は見る距離によって表情を変えるところにあると思いました。遠くから見ると平和で調和した風景なのに、顔を近づけるにつれて点描で描かれた細かい茶葉や苔むした岩の独特の質感がまるで手触りのようにダイナミックに浮かび上がってきます。以前のインタビュー記事に「調和と不協和の風景」とタイトルをつけたのは、まさにこの二面性ゆえです。これは生で見ないと分からない。牧野さんのお名前と実績は知っていても、実物を見たことのない人は多いと思いますが、ぜひ自分の目で確かめに行ってみることをおすすめします。

 

(ライター/星野大輔)

牧野満徳富士山館
富士市厚原1330-8
(金~月曜10:00~17:00)
TEL:090-3447-6886

浮月楼ギャラリー館
静岡市葵区紺屋町11-1
公式Web

 

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