「学び直し」で誰もが自分のキャリアを大切にできる世の中へ
主幹講師の勝亦綾子さん(左)と田村彰祥専務
「職業選びは人生選び」
富士西部で青春時代を過ごした人なら誰でも知っている「静岡県富士自動車学校」だが、最近では福祉や保育など他分野の事業も展開しているという。中でも、「学び直し」=リスキリングが注目される今、「キャリアコンサルタント養成講座」を実施する意義や背景について、同校(株式会社キャリアドライブ)の田村彰祥(あきよし)専務と、講座の主幹講師でキャリアコンサルタントとして活躍中の勝亦綾子(かつまたあやこ)さん(Vol.94に登場)に話を伺った。
キャリアコンサルタントとはなんですか?
勝亦:
個人の能力や興味・価値観に沿った職業選択の相談に乗ったり、新たなスキルの開発、その活用をサポートしたりする国家資格です。私自身はキャリアコンサルタントとしてこれまでいろんな機関でキャリアに関する相談に乗ってきましたが、2019年に株式会社キャリアドライブが立ち上げた養成講座に翌年から主幹講師として合流しました。人間力を磨き、即戦力となれるコンサルタント育成を念頭に、受講生同士が切磋琢磨できる環境を整えています。
受講生の背景は、企業の人事や研修担当から、子育て中の方、退職後の第2の人生を見据えた50代後半の方までさまざまです。「現状、職場には満足しているけどこの先どうなるのか」「本当に自分の目指すべき方向は合っているか」など、キャリアに関しては誰もが大なり小なり不安を抱えています。キャリアコンサルタントが増え、そういった不安を気軽に相談できる場が整っていけば、より多くの人を支えられると考えています。
「ライフキャリア」という、人生そのものがキャリアなのだという考え方があります。その人の生き方に寄り添って応援していくことで、就職・転職の一時的なアドバイスにとどまらず、価値観をより明確にしたり、背中を押してあげたりなど、もっと広い意味で力になれるはずです。質の高いキャリアコンサルタントが、講座での学びを周囲に還元していけば、誰もがそれぞれのキャリアを大切にでき、活躍できる社会につながると期待しています。
今の日本において、キャリアコンサルタント養成講座を開設する意義は?
田村:
DX(デジタルトランスフォーメーション)などの技術革新や、ビジネスモデルの変化に対応するため、必要な技術やスキルを得る「リスキリング」が注目され、国も本腰を入れ始めました。終身雇用制の元で、社内で通用する能力さえあればよかった時代が終わり、どこへ行っても通用するキャリアを積み重ねていくことがより大切になってきているのです。そんな中、たとえばキャリアについて相談できる窓口が組織の中に存在すれば、社員それぞれが自身の能力を引き出すことができるようになり、会社全体の活性化につながります。現状に留まるのではなく、誰もが学び続けようとする社会への過渡期にあって、キャリア支援について専門的に学べる本講座を展開する意義は、とても大きいと考えています。本講座から巣立ったコンサルタントが多くの現場で活躍して、組織や地域を活性化してくれることを願っています。
自動車学校とキャリア支援は意外な組み合わせだと感じました。
田村:
富士自動車学校は50年の歴史がありますが、自動車運転免許取得のために自動車学校に通うのは一時的です。地域の人々の人生にもっと長く関わり、伴走するような存在となることを目指し、本講座のほか、近年では保育事業「ふじさんBu-Bu(ブーブ)保育園」や福祉領域にも展開しています。
僕自身、以前子どもと関わる仕事をしたことがあるのですが、大人だけでなく、子どもにもキャリア教育が役に立つのではないかという思いがあります。将来の目標や自信が持てず不登校に陥ってしまう子も、キャリア教育を通じて、自身の強みや適性、価値観に気づき、前進する力になるのではないか。自分の個性や能力を知り学び続けようと考える子どもたちが、地域の未来をよりよいものに変えていってくれるのではないかと思うのです。今後も、会社として地域社会に貢献できるかという「社会性」を大切に、新たな分野に挑戦していきたいです。
(ライター/小林千絵)
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