コロナの片隅で(6) 人材育成コンサルタント 増田 和芳さんに訊く

「心地の良い職場づくりは笑顔を絶やさないこと」

コロナにより新しい働き方が普及した一方で、心に不調をきたす人が増えている。慣れないオンライン会議による、いわゆる“ZOOM(ズーム)疲れ”もそのひとつ。思ったことがすぐに伝えられない、雑談もできない、そんな悩みを抱えながら働く人も多いのではないだろうか。

今回は、県内を中心に人材育成を目的とした企業研修の講師を務める、合同会社富士みらいクリエイション(富士市本市場)代表の増田和芳(ますだかずよし)さんに、コロナ禍における働き方の現状と今後について、話を伺った。

増田和芳さん

富士みらいクリエイション代表
増田和芳さん

リモートワークなどの新しい働き方は、どのような影響をもたらしましたか?

コロナ禍で外出制限がされたことにより、大勢の人が集まる企業研修が開催できなくなりました。そのぶん、ITツールを活用したオンライン研修に変化しています。インターネットに馴染みのある世代から、50代・60代までの社員が参加するため、操作に戸惑う人もいましたが、コロナ禍3年目となり次第に解消されていきました。

物理的な問題がなくなる一方で、今度は従業員同士の心理的距離が広がっているように思います。これまでは、同じ空間で仕事をすることがほとんどでしたが、オンラインに移行したことで、相手の様子を見ることができず、双方に不信感が生じてしまうことも。

私は人材育成コンサルタントとして、相手と自分を信じることの大切さをお伝えしていますが、遠隔でのやりとりは、一方的なコミュニケーションにならないことが重要だと考えます。例えば、チャットやスタンプ機能を利用してお互いに交流を図ることや、アンケート機能で今の気分を共有するなど、双方のコミュニケーションが必要となります。

コミュニケーションの弊害をなくすために、私たちにできることはありますか?

いつも難しい顔をしている上司と、にこやかに自分の話に耳を傾けてくれる上司のどちらに相談をしますか?答えはもちろん後者ですよね(笑)。それはなぜでしょうか?答えは笑顔にあります。

笑顔でいることは、疎外や拒絶をされない心理的安全性を生み出すことができます。そのため、気づいたことを自由に発言できる雰囲気を作り、従業員が主体的に業務を行なうことができます。一人ひとりの生産性が向上することは、会社全体の利益を上げることにもつながります。

じつは私も、会社員時代に似た経験をしたことがあります。いつもイライラしていて、細かい指摘をする上司に話しかけることができず、仕事が進まなかったことも。私は次第に、この職場で必要とされていないのではないだろうかと思い、メンタル不調を起こしてしまうことがありました。もしあのとき、双方が笑顔でコミュニケーションができていれば、心地の良い職場を作ることができたのかもしれません。

今、私が人材育成コンサルタントの仕事をしているのは、自らの体験をもとに、職場でのコミュニケーションの大切さを皆さんにお伝えしたいからです。

コロナ後の働き方はどう変化しますか?

おそらく、対面とリモートワークを融合した働き方になっていくのではないでしょうか。それは、コロナ禍でリモートに合った業務が見極められたり、自宅で仕事をすることで、私生活と両立した働き方ができると分かったからです。

そこで課題となるのは、リモートワークをするときの環境づくりです。働く時間が自由になったぶん、メリハリをつけられず、いつまでも仕事してしまうことも。そうならないためにも、時間の管理を意識した働き方をお薦めします。

一方企業は、固定勤務から成果を求める雇用に変化していきます。そのため、今まで働くことに負荷があった人が社会活動に参加しやすくなり、多様な働き方を実現する社会に移行していくのではないでしょうか。

(ライター/佐野美幸)

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