人道支援『ミャンマーの今を伝える』パネル展

ミャンマー語のメッセージ「私たちの心はつながっている」

〜知ることは、思いやること〜

以前はテレビなどでも連日報じられたミャンマーの軍事クーデター。日本では日を追うごとに露出頻度が減っているが、記憶に留めている読者も少なくないはずだ。国軍の武力行使が起きた今年2月1日以降、ミャンマーの人々は民主化を切望し、抗議デモを繰り広げてきた。が、逆に多数の犠牲者がでる事態になり、今もすっきりとした青空は見られていない状況にある。

米国・フランス・韓国のほか、もちろん日本でも地道な支援活動は続いている。例えば富士市では、クーデター以前から民間交流を深めていた市内の有志がミャンマーの人々に寄り添いさらなる支援の輪を広げようと、今年7月に富士市伝法の正法寺でパネル展を行い、また10月頭にはその第2弾を横割のグリナート・幹(みき)で開催した。

グリナート幹

もともとは豊かな農業国。美しい民族衣装でも知られ、宝石、石油などの天然資源も豊富だ。同展を主催したミャンマー人道支援有志によると、「人々は素朴であたたか。仏教徒が多く、信心深いと思います。しかしクーデター以降、辛い生活を強いられています。まずはそうした状況を知って欲しい。このパネル展をきっかけにインターネットでミャンマーの今を検索して、そこから多くのことに関心を寄せてもらえたらいいですね」。

10月に訪れた会場内には幾枚もの大型パネルが展示され、各パネルにはテーマごとの写真&解説が付き、例えばミャンマーの歴史、悲惨な被害の様子、総選挙で国家最高顧問に選ばれたアウン・サン・スー・チー氏ら『民主化運動を支える人物と組織』のことや、『日本国内の支援活動』の広がりなど、数多くの情報が紹介され、来場者が熱心に見入る姿が目立った。

パネル展示

パネル展示

 

あたたかな支援の思いは子供たちにも広がってきている。市内の小・中学生のレポートや高校生の手作りパネルが展示されていて、カラーペンで大きく手書きされた三色旗の横には、黄色は国民の団結、緑は平和と豊かな自然環境、赤は勇気と団結力、さらに中央の星印は国民が一体化する意義、との解説が。会場では、紙の街・富士市の紙バンドを使って50人以上の有志が作ったアクセサリー「ミャンマー☆(ほし)」が無料配布されていた。「ミャンマー☆」は、ミャンマーの現状を広く知ってもらう活動の象徴的なアイテムだそうだ。また、たくさんの人が寄せ書きしたメッセージボードもあり、色とりどりの星形のなかには『一日も早く安心できる日が来ますように』『私にできることは少なく申しわけありませんが……心よりお祈りいたします』など、ひたむきで切実な願いがつづられていた。他にもコロナ感染の状況、現地の無医村を巡回する日本人医師・名知仁子(なちさとこ)さんの活動など展示物は多く、色あざやかな民族衣装の実物展示はやはり目を引いた。

活動賛同者の心をつなぐ「ミャンマー☆」

活動賛同者の心をつなぐ「ミャンマー☆」

民族衣装や絵画などの文化を紹介

民族衣装や絵画などの文化を紹介

 

前出の人道支援有志は、「アウン・サン・スー・チー氏らの民主化以降、海外資本も入り、民間企業の成長もあって、安定した経済成長が期待されるまでになっていたんです。ところが現在はそうした状況にありません」という。

世界を見渡すと、政治情勢の大きな変化を感じる。しかし、一市民としてはどう対応したらいいのか。人としての基本はやはり相手を思いやる気持ちで、やさしさと笑顔は国境を越え人々をつなげる。

「ミャンマーで起きていることは遠い国の話ではありません。もしもお隣の人が困っていたなら、助けてあげますよね。そうすると、お隣の人も次の人を助けるでしょう。そうやってみんなが助け合い、協力しあって、安心して暮らせる社会は維持されていきます。国や言葉は違ってもだれもが協力しあえるわけで、思いやる心が未来をさらによくすると思うんです。」

来場者からの寄せ書き

来場者からの寄せ書き

募金とチャリティ販売収益は支援活動に活かされる

 

3日間の開催期間中に150人が来場し、会場に設置された募金箱や販売されたTシャツ、本からは約15万円の収益があったそうだ。たくさんの誠意はミャンマーでの医療と菜園作りの活動に寄付されたが、なにより同展には民族の壁を越えたやさしさと熱気があふれていて、日本では当たり前のように語られる平和について深く考えさせられもした。未来は決まっていないからこそ、だれもが夢を語れる。協力しあうことで未来は輝く。富士市からミャンマーへ支援の心をつなげる有志たちとともに、すぐにでも穏やかなときが訪れるよう強く願わずにはいられなかった。

(ライター/佐野一好)

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