みんなで緑の監視員になろう!
宮城県塩竈市で先日診断した樹齢200年のケヤキの木もコフキタケにやられていました
樹木医が行く! 第39回
今回は「緑の危険」について書きたいと思います。緑の危険というと、皆さんにはどんなイメージが浮かびますか?
自然破壊?熱帯雨林の乱伐や世界各地で起きている山火事など大変です!外来種の侵入?最近、動物についてはいろいろと取り上げるテレビ番組が増えてきました。しかし、植物の世界でも外来種が侵入し、在来種を駆逐する事例がたくさんあります!木が衰弱している?近年の温暖化のせいか、昨年の猛暑でもともと弱っていた多くの木が息の根を止められて、枯れてしまいました!
今回は、木が倒れて人や物に被害を与えるような危険を察知する、予知的なイメージで話を進めたいと思います。最近、台風で街路樹が倒れたなどのニュースをよく耳にします。富士市でも昨年、公園の樹木が強風で倒れ、バスを直撃したニュースがありました。しかし困ったことに、倒れてしまった木は意外にも元気そうで、外見上は危険にまったく気づかなかったというケースが多々あります。
倒木の原因はいくつかあります。1根が弱っていて、根元からコロンと倒れてしまうケース。2幹に空洞があり、強風などに耐えられず、幹が折れて倒れてしまうケース。他にもいろいろと細かいケースはあるのですが、おもな原因としてはこの2つです。
根が衰弱し、木を支える力が弱くなり、強い風を受けて倒れてしまう1のケースの場合、実際に根元を掘ってみて調べる必要があります。これには専門的な知識も必要になり、外見から「この木が危ない!」と判断することはなかなか難しいのです。
ところが2のケースの場合、皆さんでもその危険をかなり高い確率で発見することができます。街路樹や公園の木にキノコが生えているのを見かけたことがあるのではないでしょうか?じつは木にキノコが付いている場合、枝が枯れていたり、幹に空洞があったりする可能性がとても高いのです。その中でもとりわけ危険度が高いキノコが4つあります。ベッコウタケ、コフキタケ、ナラタケ、ナラタケモドキです。
これらのキノコは木の枯れた部分だけではなく、生きた細胞も攻撃し、木を積極的に枯らそうとするため、要注意。ベッコウタケ、コフキタケはいわゆるサルノコシカケの仲間です。ナラタケ、ナラタケモドキはナメコのような見た目で、たいてい木の根元に生えています。
喜多 智靖
樹木医
アイキ樹木メンテナンス株式会社 代表取締役
弱った木の診断調査・治療に加え、樹木の予防検診サービス『樹木ドック』を展開中。NPO法人『樹木いきいきプロジェクト』では、東日本大震災で津波被害を受けた宮城県石巻市での除塩作業や学校における環境教育授業を継続中。
喜多さんのブログ『樹木医!目指して!』
アイキ樹木メンテナンス株式会社
NPO法人『樹木いきいきプロジェクト』
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。