子猫園をNPOに
『保護猫たちのパネル展 2023』会場にて
子猫園日記 第3回
「小さな命」が奪われる社会について考えるきっかけになることを願い開催した『保護猫たちのパネル展2023〜中学生と猫たちが綴るメッセージ〜』には多くの人にご来場いただき、その関心の高さを感じることできた。アンケートには猫たちに対する想い、励まし、課題も挙げられていた。しっかり受け止め考えていこうと思う。
小さな命を救うという信念に基づき、生と死に向き合い日々活動している。春は出産時期で、今年も保護入園が続き27命が在園している。野良猫の発情は日照時間に関係しているため、出産は春から夏がピークになる。今年の2月に保護した8命は、バッグの中すし詰め状態で遺棄されていた。7命は生まれたばかりの赤ちゃん。1命は生後1ヵ月くらいの子。無責任な飼育環境で避妊去勢手術をしていない猫が出産し、子どもを捨てたのだろう。寒い日の朝だった。母猫は少なくとも2匹。警察や行政も介入し、現場検証も行なわれたが、その後同じ地区で親子ともども遺棄された事件が起き、ニュースにもなった。繰り返される犯罪。社会問題として取り組む必要がある。
子猫園はおもに生まれたばかりの乳飲み子を保護して育て、里親につなげる活動をしている。理由はいちばん無防備で真っ先に奪われる命だから。大切に愛情を込めた子どもたちは、どの子もみんな愛しい。健康に育つように、質のよいご飯をあげて、寂しくないようにいつもそばで一緒に眠る。病気になれば治療に通う。当然費用も多くかかり、個人の活動としてはまかなえない厳しい状況。でもそのたびに優しい人たちのご寄付やご支援に救われてきた。添えられたメッセージにも何度励まされたかわからないほど……。
無力な自分。問題解決の糸口も見つけられず、不安に苛まれる日々もあるが、腕の中で自分を信じて見つめる瞳が語りかける。
「ソレデイイノ?」
あきらめられる訳がない!
そんな時、NPO法人の制度を知った。設立に関する難しい資料は読み返しても疑問符の連続だが、自分が代表となり、より多くの命を救えるように。社会的にもっと真剣に向き合ってもらえるように。新しい子猫園を作りあげたいと、設立を決意した。
保護、育児、治療、TNR※、地域問題、多頭飼育崩壊、育児放棄、虐待。問題は山積みだが、今自分ができることを、すべての命が尊重され平等に守られる日が来るまで走っていこう思う。
『NPO子猫園ベルソー・デ・シャトンズ(仮名)』は本会員や賛助会員を募集し、基盤を作りたい。また実際に活動に参加してくれる仲間ができたらと思う。できないことからではなく、何ができるかを考えて進んでいきたい。
※TNR……「Trap(捕獲する)」「Neuter(不妊手術)」「Return(元に戻す)」の略。殺処分ゼロを目指し、繁殖を抑制しながら地域猫として一代限りの命を見守る活動。
赤石 朔
保護猫活動家
あかいし さく/保護猫ボランティア団体『ベルソー・デ・シャトンズ』広報担当。2008年富士市生まれで、現在(執筆当時)は富士市立富士中学校2年生。生まれた時から猫とともに暮らし、猫の幸せを願う気持ちと鋭い観察眼で、保護猫たちの体調変化を見逃さない。命をテーマとした学校講演やイベントでの啓発活動など、多方面でメッセージを届けている。
保護猫譲渡会のお知らせ
毎週日曜日に譲渡会を開催しています。
完全予約制。
個別の面会は随時受付。
子猫園ベルソー・デ・シャトンズ
富士市本市場128-1
TEL:080-4929-0117(赤石)
コメント ( 0 )
トラックバックは利用できません。
この記事へのコメントはありません。