猫は人間を幸せにしてくれる

子猫園日記 第6回
2024年度(4月~2月末日まで)、子猫園ベルソーデシャトンズにはたくさんの命が入園した。保護数140匹、譲渡数92匹、TNR+M(※)の実施102匹(継続実行中)。2019年から現時点までの保護数550匹、譲渡数420匹。2021年から取り組んできたTNR+Mの実施328匹。
命を救うことに理由はない。環境省のデータで殺処分が減少しているのは、法改正により行政が引き取り拒否を実施できるようになったことが大きい。殺処分にはもちろん反対だが、それが行き場のない猫たちへの問題解決になっているかというのはまったく別の問題。子猫園での保護数が年々増えていることがそれを証明している。富士市役所とは猫と人の共存共生について何度も議論し、情報共有しながら問題に向き合ってきた。春は出産の時期。尊い命が奪われることなく守られるよう、迷わず保護してほしい。乳飲み子は一刻を争います。子猫園で預かりますのでご連絡ください。
子猫園の活動をテレビや新聞などで紹介してもらうことがあり、さまざまな質問を受ける。「大変じゃないですか?」と言われることもある。時間も人手もお金も足りないことばかりだが、不幸だとか嫌だとか感じたことはない。それは猫たちのおかげで、すごい力を持っていると実感する。
入園したすべての猫たちはその日から僕の家族で、愛しく大切でたまらない。真っすぐに見つめる瞳も、寂しいとすりすり体を寄せてくる仕草も、安心して聴かせてくれるゴロゴロ声も、そばにいるだけで癒やされて、優しい気持ちになる。そんな猫の力は病気の予防や治療にもなることがわかっている。
猫の顔はベビースキーマといって、人間が本能的にかわいいと感じる身体的特徴が当てはまる。触れなくても「かわいい」と感じるだけで、脳内でオキシトシンが分泌され、リラックス効果が得られる。さらにセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の分泌を促し、心にわだかまった怒りや不安から解き放たれ、幸福感に包まれる。オキシトシンは人間だけでなく猫にも分泌されるのは驚きだ。撫でるなど直接的な接触をするとストレスホルモンが軽減し、副交感神経が優位になり心拍数が落ち着いてリラックスする。この気持ちが「癒やされる」と感じる。
この癒やしには血圧を安定させる効果があり、「猫を飼っている人は、心筋梗塞や心臓血管疾患が原因の死亡リスクが低減した」(2019年『血管・介入性神経ジャーナル』より)といわれている。
また、猫がゴロゴロと鳴く音の周波数は骨の成長を促し、骨折を治し痛みを和らげ、骨密度を上げることもわかっている。フランスでは「ゴロゴロセラピー」が実際の医療現場で取り入れられている。猫を家族に迎え幸福感が高まったと感じた人は99.7%(アニコム損保調べ)にのぼる。家族に計り知れない幸せをもたらす魅力的な猫の存在。24時間体制で動いている54歳の母がパワフルなのは、一番多くお世話をしている恩恵を受けているからなのだろう。
ありがたい猫たちの存在。子猫園に遊びに来てください。きっと心も身体も元気になりますよ!
※TNR+Mとは
野良猫の殺処分ゼロを目指し、繁殖を抑制しながら、地域猫として一代限りの命を見守る活動
Trap (トラップ) = 捕獲する
Neuter (ニューター) = 不妊手術をする
Return (リターン) = 元の場所に戻す
Management (マネジメント) = 管理する

赤石 朔
保護猫活動家
あかいし さく/NPO法人子猫園ベルソーデシャトンズ代表。2008年富士市出身で、現在は静岡県立富士高校1年生。生まれた時から猫とともに暮らし、猫の幸せを願う気持ちと鋭い観察眼で、保護猫たちの体調変化を見逃さない。命をテーマとした学校講演やイベントでの啓発活動など、多方面でメッセージを届けている。
保護猫譲渡会のお知らせ
毎週日曜日13:00〜16:00に譲渡会を開催しています。
完全予約制。
個別の面会は別日予約可。
子猫のストレスや感染症対策の観点から
いつも過ごしている場所でふれあっていただきます
リラックスした猫たちに会いに来てください
猫たちの様子はInstagramにて日々更新中です
NPO法人子猫園 ベルソーデシャトンズ
富士市本市場128-1
TEL :080-4929-0117(赤石)
メール:berceau1210@i.softbank.jp
LINE :berceau1210
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