地元を楽しむお散歩気分の風呂めぐり【第1回】
お出かけレポート
この季節、温泉へ行きたくなる。古の書物『日本書紀』には身を清める意味での入浴の記述があり、昭和の時代には『いでゆ』という名の列車が東京―伊豆区間で運行されていて、ここからも日本人と温泉の親密な関係がわかる。ところが令和に入ってコロナ禍になると、おおかたの銭湯・温泉好きは密を避け、近場の湯からも足が遠のいているのでは。日々の疲れを心身ともに癒したいが、今は遠くの湯へは行きづらい。そこで、地元の風呂めぐりをすることにした。
スーパー銭湯 鷹の湯
内風呂で極楽気分“トゴール湯”で静かなやすらぎ
ある晴れた日曜の午後、富士市鷹岡地区にあるスーパー銭湯『鷹の湯』を訪ねた。まずは外観写真を観光気分で撮り、高い天井のロビーに入って大人料金650円を払った。備え付けの石鹸、シャンプー、タオルなどはなく、いわゆる“お風呂セット”は持参する。つまり昔ながらの銭湯スタイルだ。さてお風呂だが、男湯の先客は約15名。お湯の温度は40度より少し低めで血行促進と疲労回復に効果がありそうだ。内風呂でゆっくり肩までつかっていると、寒さに弱い還暦まぢかのライターの口から極楽気分のため息がこぼれた。ほかに寝湯、バブルジェットバス、サウナなどを体験。続いてゴツゴツした景石のあいだからお湯が湧き出るようにこぼれ落ちる露天風呂へ。ほぼ一人の貸切り状態のまま、しばし目を閉じてくつろいでいると静かなやすらぎを覚えた。雨天でも楽しめそうな屋根付き露天風呂の湯には新潟県産“トゴール・ウォームタイト”が使用されており、その風化鉱物にはストレス解消、筋肉痛、関節炎などの鎮痛効果があるとか。
同湯の西村マネージャーは「地元で愛されている銭湯とはいえ、コロナ前と比べて客数はまだ3分の1程度。特に平日14時ごろが空いています。お湯もお水も健康効果が期待できる富士の天然バナジウム水です。コロナ予防の衛生管理には細心の注意を配っていますから、どうぞお気軽にお越しいただき、ごゆっくりとおくつろぎください。」
久しぶりの大浴場で身も心もぬくもった。
富士山天母の湯
のんびり入浴露天風呂で駿河湾に見とれる
翌週は富士宮市山宮の『富士山天母(あんも)の湯』へ向かった。富士登山客に人気の温泉だから、夏は8割が観光客、ところが冬になると地元民ばかりになるそうだ。この日は大人料金1時間410円を払って入ったが、ほかに3時間券や1日券もある。備え付けのシャンプー等はあり、タオルは持参する。寒波襲来の日でとにかく寒く、午前10時過ぎにまずはバブルジェットバスで体を温めた。先客は2名、寝湯で目を閉じくつろいでいる。内風呂の大窓から露天風呂への眺めは逆光のシルエットで、どこか旅館のたたずまいだ。体が温まったところでいざ露天風呂へ。その露天風呂には肌をうるおし、血行を促進する生薬入り『くすり湯』があった。ヨモギ、カンゾウ、シコン、ドクダミの薬草4種が週替わりで楽しめ、この日は緑色のヨモギ湯につかり冬空を仰いだ。目を転じると、低木の南に富士宮と富士市街が見下ろせた。その向こうには陽光きらめく駿河湾と濃紺の伊豆半島が横たわり、しばし見とれる。
同湯の清(せい)支配人は「静岡県のふじのくに安全・安心認証(飲食店)を受けた施設です。サウナは密を避け、定員5名を3名に制約しています。1時間ごとに脱衣所の消毒を実施するなど感染対策に気を配っています。料金が安いのも魅力らしく、夜景や星空を楽しみに夜の露天風呂で入浴されるお客様も多いですよ。くつろげる大広間もあります。お気軽にお立ち寄りください。」
地元を楽しむ風呂めぐりはやめられそうにない。
(ライター/佐野一好)
スーパー銭湯鷹の湯
富士市久沢788-1
TEL:0545-73-1526
営業時間: 平日 10:00~22:00 | 土日祝 8:00~22:00
年中無休
富士宮市山宮3670-1
TEL:0544-58-8852
営業時間:10:00~20:00
月曜定休 (祝日の場合は翌日休み)
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