吉原まち中アートミュージアム 宮崎泰一 写真展
©宮崎泰一
イベントレポート
『富士の絶景を求めて』
外出自粛要請は解除されたものの、雨でイベントの中止や延期が多かった今年の梅雨。しとしと雨が降る中、吉原商店街を歩いていると、各店舗の店先に飾られた富士山の写真に目が留まった。新緑の頃の朝日を浴びた爽やかなたたずまいの富士山の姿に、雨で滅入っていた気分がなんだか晴れやかになり、次の写真を探して商店街の店先を覗いてしまう。6月13日から7月12日まで開催された、富士市在住の写真家・宮崎泰一さんの写真展、吉原まち中アートミュージアム『富士の絶景を求めて』は、吉原商店街を大きな一つのミュージアムに見立て、3密を避けながら作品を楽しめる画期的な展示会だった。
地元が大好きだという宮崎さんは、富士・富士宮の風景やイベントなど、地元の魅力を伝えたいという想いからシャッターを切る。幻想的な雲に覆われた富士山の姿などは、「天気予報からどんな風景になるのかだいたいわかるので、狙って、待って、撮るんです」とのこと。多くの人に見てもらい、この地域の風趣を感じてほしいと撮影した写真は、『富士市観光ガイドブック』にも多数採用されている。
今回の写真展は当初、昨年同様2月に開催予定だったが、新型コロナウイルスの流行で6月となり、吉原祇園祭が中止になってしまったことから、宮崎さんの祇園祭の写真も一緒に展示された。「梅雨時ですがアーケードもありますし、商店街を歩きながらお店を覗いてもらうきっかけにもなっているようです」というのは、企画した「タウンマネージメント吉原」の水谷利江子さん。今年はコロナ対策で分散展示にしたが、商店街を歩く人が増え、また雨の季節でなかなか見ることができない富士山を見られるので、遠方からの来訪者にも喜ばれているという。
企画した水谷さんは、「吉原商店街では街を盛り上げようという面白い動きがいろいろあります。街を応援してくれる人がいるので、地元の魅力を発信してくれる人を街が応援することも大切。こういう試みは今後も続けていきたいですね」と、発表の場としての商店街活用にも前向きだ。3密を避ける新しい生活様式の中で、商店街のイベントも新しい開催の仕方、イベントのあり方への模索が感じられた。
(ライター/川島和美)
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