ドワーフキャット とと
小さなとと
子猫園日記 第7回
子猫園ベルソーデシャトンズは小さな気持ちから始まった活動だ。小学5年生の時、殺処分対象の多くが生まれたばかりの子猫だと知り、その事実に強い衝撃を受けた。「生まれただけで終わる命がある」何も知らなかった自分が恥ずかしくなった。だから僕は、乳飲み子の保護は断らないと決めている。
「高校の体育器具庫で、野良猫が子どもを産み育てている」と相談を受けた。保護したのは生後1週間ほど。やっと目が開いたばかりの4兄弟。命名は『とと』『めめ』『ぽぽ』『くくラウール』。手のひらに乗るほどの命に2時間おきの授乳が始まる。 いちばん小さなととは体重207グラム。ミルクを飲ませるたび鼻から溢れ、むせ、小さな体を震わせた。「お願いだから、生きて」そう祈りながら、体をさすり続けた。
獣医師と相談してカテーテル授乳を始めたことで、ととの体重は少しずつ増えていった。けれど、他の兄弟のようには育たない。歯が生えず、爪の形が違い、目も見えていないかもしれない。どんどん大きくなる兄弟たちと、小さなままのとと。走ることはできず、歩くだけでよろけてしまう。「この子はどこまで生きられるのだろう……」何度も胸の奥でつぶやいた。それでも、小さくてもいい、できなくてもいい、普通じゃなくてもいい。ただ、生きていてほしい。 兄弟たちは“ずっとの家族”となる里親に迎えられ、ととは子猫園に残った。夜、布団に入ると小さな体が僕の胸元に。鼓動があるか何度も確かめた。

一緒に生まれた兄弟と
生後5ヵ月を迎えた頃、突然の痙攣発作。小さな体が激しく跳ね上がる。失禁、脱糞。目は虚ろで声も届かない。「とと、ここにいるよ」抱きしめながら、僕はただ泣いた。1歳を前に受けた精密検査では脳に異常はなかった。けれど全身の関節は未発達で、成長ホルモンはほとんど出ていない。 甲状腺機能も著しく低い。「症例がありません。非常に困難です」と獣医師から静かな宣告。成長期に体が成長せず、ずっと子猫サイズのままであることから「ドワーフキャット(小猫症)」とも呼ばれるもので、世界的にも発症例が少なく原因も不明な点が多いという。
未来が見えなかった。発作のたびに体を傷つけ、尻尾は悪化し断尾手術となった。短くなった尻尾を見たとき、涙が溢れた。「どうしてこの子ばかり……」 そう思ってしまった自分が情けなかった。それでも、ととは生きている。ジャンプはできない。高いところに登れない。走る姿は少しぎこちない。 でも、ごはんを食べる。目を見て「ねえ」と話しかけてくる。毎晩僕のベッドで眠る。命は強さで測るものじゃない。体の大きさで決めるものでもない。“生きている”ということだけで、もう奇跡なのだ。ととは小さいまま、大きくなった。そして今も、全力で生きている。
【イベント情報】
保護猫たちの未来フェス
3/20(金) 10:30〜15:00
会場:静岡県動物愛護センター「しっぽのバトン」(富士市大淵2158)
入場無料 駐車場120台あり
保護猫譲渡会、猫の相談会、代表・赤石朔による「命の授業」や高校生との対話プログラム、「モデルとと」の撮影会、各種ワークショップ、パネル展示、チャリティーフリマ、フード&雑貨の出店など。詳しくはベルソーデシャトンズのウェブサイトにて。
赤石 朔
保護猫活動家
あかいし さく/NPO法人 子猫園ベルソーデシャトンズ代表。2008年富士市出身で、現在は静岡県立富士高校1年生。生まれた時から猫とともに暮らし、猫の幸せを願う気持ちと鋭い観察眼で、保護猫たちの体調変化を見逃さない。命をテーマとした学校講演やイベントでの啓発活動など、多方面でメッセージを届けている。
保護猫譲渡会のお知らせ
毎週日曜日13:00〜16:00に譲渡会を開催しています。
完全予約制。
個別の面会は別日予約可。
子猫のストレスや感染症対策の観点から
いつも過ごしている場所でふれあっていただきます
リラックスした猫たちに会いに来てください
猫たちの様子はInstagramにて日々更新中です
NPO法人子猫園 ベルソーデシャトンズ
富士市本市場128-1
TEL :080-4929-0117(赤石)
メール:berceau1210@i.softbank.jp
LINE :berceau1210
【正会員・賛助会員募集中】
〜猫たちが大切に守られる社会を目指して〜
正会員:1人5,000円/年
賛助会員:1口1,000円/年(何口でも可)
詳しくは上記連絡先までお問い合わせください
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