おすすめの樹木図鑑 〜山へのハイキングのお供に〜
樹木医が行く! 第42回
大学での実験・研究活動が忙しいこともあり、最近は山へのハイキングに行く機会が激減しました。身体もなまるし、気分転換もできず困っています。
そういえば、以前このコラムで「静岡県立大学の社会人学生として博士後期課程に通います」とお伝えして、その後触れていませんでしたので、まずは大学生活の経過報告から。博士後期課程は通常3年間ですが、難しい場合は最大6年まで延長できます。そして私もすでに4年目。というのも、取り組んだ実験の半分が失敗(何も面白い結果が見つからない)してしまい、時間ばかりが流れているからです。でも逆にいえば、残り半分では面白いことが見つかっていて、とても充実した実験・研究の日々を送っています。
研究テーマは「樹木の目に見えないかすかな異変をより早く見つけて、より早く治療すること」です。見た目はどれも同じような姿でも、元気な木、少し弱り始めている木、倒木の危険をはらんでいる木などが混在している環境のもと、目では見えない異常のある木をなんとか見つけ出せないかという実験を行なっています。いろんなセンサーや機材を使うのですが、イメージとしては人の体温や血圧を測って「熱はないか?血圧は高くないか?」といった体調不良の初期の徴候を発見するような感じでしょうか。
とても面白い研究なので、本当は詳しく紹介したいのですが、特許にも絡む内容を含むため、まだ公には話せないのがもどかしいところです。いずれ公開できる時期が来れば、またこちらでお話しします。
さて今回の本題に戻ります。私は以前から静岡県森林インストラクター協会という団体に所属して、樹木に詳しいベテランのメンバーたちと活動をともにしています。山に行って目に入る木の樹種がすぐにわかるくらいに詳しくなりたいと、5年ほど前から山へのハイキングを頑張ってきました。一般的なハイキングとは目的がかなり異なるかもしれませんが(笑)。
山に行った際、樹種がわからない木があればその場で調べる必要があります。そのため、樹木図鑑の類をこれまでいくつも買ってきたのですが、現在ではほぼ2冊の本のみを持ち歩く形に落ち着きました。決定版の1冊ではなく2冊になっている理由は、バラです。土地による固有種が多いバラについてはどうしても一般の樹木図鑑だけでは対応できず、バラ専門の図鑑も持ち歩く必要があるのです。
これから夏本番を迎えて、みなさんも山へ行く機会が増えると思いますので、私が選りすぐった2冊の図鑑をお供に、ぜひ山へ樹木巡りのハイキングに!ということで、以下に紹介したいと思います。

山溪ハンディ図鑑
樹木の葉 第3版
画像・解説/林 将之
山と渓谷社
だいたい600樹種の木がわかれば、日本中どの山に行っても大丈夫だといわれている中、圧巻の1,390樹種掲載!園芸品種や外国産樹木も多く掲載されています。さらにこの図鑑の特徴は葉を実際にスキャンしたきれいな画像。山に行って実際の葉とこの図鑑の画像を見比べて、樹種を調べることができます。

解説/御巫 由紀
写真/大作 晃一
文一総合出版
バラについては唯一無二の図鑑です。富士山周辺は野ばらが豊富で、このエリア特有の種もあります。バラはトゲの形や葉の付け根を見て識別しますが、そのポイントを完全に網羅しています。ちなみに紹介した2冊は電子書籍にもなっていて、私はどちらもスマホに入れています。
今年の夏もきっと暑くなると思いますので、避暑を兼ねて、そしてクマの出没には気をつけながら、山へのハイキングにぜひお出かけください。
喜多 智靖
樹木医
アイキ樹木メンテナンス株式会社 代表取締役
弱った木の診断調査・治療に加え、樹木の予防検診サービス『樹木ドック』を展開中。NPO法人『樹木いきいきプロジェクト』では、東日本大震災で津波被害を受けた宮城県石巻市での除塩作業や学校における環境教育授業を継続中。
喜多さんのブログ『樹木医!目指して!』
アイキ樹木メンテナンス株式会社
NPO法人『樹木いきいきプロジェクト』
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