老化を朗らかに 笑って歳を重ねよう5

~アンチエイジング最前線~

アンチエイジングと聞くと、「シワ・シミ対策」「若見え」などを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?そもそもアンチエイジングの原点は、1990年代にアメリカの医師が提唱した、加齢に伴う動脈硬化や癌などの疾患発症確率を下げ、健康長寿を目指す医療用語「抗加齢医学(Anti-Aging Medicine)」でした。日本でもこの理念をもとに日本抗加齢医学会が設立され、「老化に対抗する」というアンチエイジングの概念が発展。その後、医学分野から美容分野にスライドしながら一般生活者に浸透しました。

2010年代に入ると、実年齢よりもはるかに若く見える女性「美魔女」ブームが到来。歳を重ねても美しくありたいという女性の本音を肯定する狙いで創出された造語ですが、これを機に見た目の若さが強調されたアンチエイジング需要が一気に拡大していきました。時代とともに変化するアンチエイジング、2026年現在では「老化に対抗する」から「細胞レベルで老化を予防する」へと進化しています。

巷で噂のアンチエイジング

化粧品、エステ、美容医療の各分野でも、テクノロジーと最先端の美容成分を組み合わせた細胞レベルにアプローチする技術が話題となっています。


【化粧品成分】 ヒト幹細胞培養液、エクソソーム美容液、PDRNなどが登場。いずれもシワ、たるみの改善、保湿、肌の修復再生に有効といわれる成分です。

【エステ】 エレクトロポレーション(美容成分を肌内部まで浸透させる技術)、LDM(美容大国・韓国で人気の肌のハリや透明感を引き出す技術)、肌の老化を遺伝子から見つめ直すカウンセリングエステなどが注目されています。

【美容医療】 スレッドリフト(医療用の糸を皮膚の下に挿入し、顔のたるみ、もたつきを内側から引き上げる)、HIFU:ハイフ(皮膚の深部に熱を与えフェイスラインを引き締める)などがトレンドです。


数年前、とても若々しい84歳のご婦人と出会いました。どう見ても60代後半にしか見えないので秘訣を伺うと、「興味あるものにすぐ飛びつく。長年エステに通っている」とのこと。早速エステで最新技術「エレクトロポレーション」を受けました。美容機器を使い美容成分を肌の奥まで浸透させ、シワ改善、肌の弾力を促すというものです。痛みはまったくなく、直後は肌にハリが出て、くすみも解消した感じでした。ヒト幹細胞配合の化粧品も購入しましたが、価格の壁に阻まれ継続を断念。どちらも続けていれば、今頃は美魔女になっていたでしょう……。

美容と健康の境界線は50代

アンチエイジングへの関心は、年齢を重ねるごとに「見た目の若さ」から「心と体の健康維持」へと軸足を移すようになります。20~30代の若い世代は「老ける前に整える」「コンプレックス解消」とした考え方が主流で、男女ともに美容医療でのエイジングケアを受ける人が増えているようです。

40代になると老化を感じ始める方も多く、「見た目ケア」と「疲労ケア」に関心を持つようになります。ただ、両方に取り組む人は少なく、関心と行動のギャップが目立つ年代ともいわれています。

50代に入ると個人差はありますが、関節の違和感、疲労回復の遅さ、集中力の低下など身体機能の悩みが増え、美容目的から健康維持へと意識はシフトチェンジ。

50代後半~60代は「体によい食事」「ほどよい運動」「睡眠の質」など、今の自分に必要なエイジングケアへと変化し、70代以降になると関心の重心が「健康寿命を延ばす」「認知症の予防」へと変わるようです。

人生100年時代、医学の分野では遺伝子や細胞レベルの若返り研究が進んでいます。NMN療法(老化による身体機能の低下を遅らせる治療)、セノリティクス(老化を抑制する研究)、リプログラミング(iPS細胞の原理を応用して老化した細胞の一部をリセットする研究)などが注目されています。

ただ、細胞レベルの若返りはまだ研究段階、受けられるようになっても高額なため、身近なものとはいえません。テクノロジーや研究がどんなに進んでも、結局のところアンチエイジングの基本は、「自分はどうなりたいか」と自己設定をし、それに向けて生活習慣「食事・運動・睡眠」を整えることではないでしょうか。

私自身、外見の若さを追い求めてきましたが、「若く見られたい」の気持ちは持ちつつ、年齢とともに変化する心と体に目を向け、今の自分をより好きになるエイジングケアに注力していきたいと思います。

(ライター/山崎典子)

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