パンデミックの中での婚活事情

2021.10.13

『婚活』という言葉は10年以上前に生まれ、今や誰もが知るようになった。もともとは結婚相談所に登録してお見合いをしたり、婚活イベントに参加して新たな出会いを見つけることが主流であったが、近年では自宅にいながらスマホを通じて婚活中の異性同士をつなぐ『マッチングアプリ』が普及し、婚活のあり方も変化している。しかし出会いが手軽になった一方で婚姻率は上がらず、結婚したくてもできない人が大勢いるのも現実だ。特に現在はパンデミックによって人と人が深く知り合う機会がますます減っている。

価値観の合う人と出会い、ともに生活したいと願い、そこに定住する、そんな営みを繰り返しながら街は続いていく。人生のパートナーを見つけられる環境づくりとは街づくりそのものでもある。そこで、富士市で婚活やウェディングプロデュースを手掛けるトゥインクルメイト代表の山本知子（ともこ）さんにコロナ禍の婚活事情や現代の婚活における課題についてお話を伺った。

コロナによって婚活はどう変わりましたか?

多数の独身男女が集まって交流する婚活イベントがなかなか開催できなくなりました。そのぶん、婚活の舞台は個別にご紹介する結婚相談所やマッチングアプリにシフトしています。若い人だけではなく、50代、60代の方が再婚を目指して婚活を始めるケースも多いです。コロナで人とのつながりが薄れた分、一人ではなく誰かと一緒に人生を歩みたいとあらためて考える人が増えているのかもしれませんね。

昨今私たちが強いられているマスク生活は、出会いの場面にも大きな影響を与えています。私はマナー講師として好印象を与えるためのスキルも教えていますが、相手と向き合うときには表情が大事だと婚活中の方々にはいつも伝えています。

マスクを付けていても雰囲気はわかりますが、魅力は伝わりにくい。それでも一般的に女性は表現が豊かで、手を叩いて「すごーい!」などと大きなリアクションが自然とできますが、男性はそういうのが苦手な人が割と多いです。マスクをしているからこそ、会話の最中に頷いたり相槌を打ったり、身振り手振りや豊かな表情で気持ちを表現することが大切になってきます。これが自然とできるようになるには、ふだんの日常の中でも意識して表現力を鍛える必要があります。

今年6月に行われた、清水エスパルス協力・ウォーキングサッカーをテーマにした婚活イベント

インターネットの普及でパートナー探しは簡単になりましたか?

現代はLINE等の気軽なオンラインチャットツールに依存して電話や対面でのコミュニケーションが苦手な若者が多いですね。お付き合いが始まってもLINEでケンカをし、会って話し合うことも無くそのまま別れてしまうカップルもいます。知り合うことはできても、生身のコミュニケーションが希薄なままだとやっぱり感情は伝わりません。

かつては、会社の上司が仲人役として独身の部下の面倒を見ていた時代がありました。誰かが私生活まで世話を焼いてくれるような距離感はもう過去のものになってきています。結婚したいと思っていても周りの人に素直に言えない人が多いと感じますね。婚活に限ったことではなく、人と距離を置くことに慣れていつの間にか孤立してしまい、会社や家庭で相談できなくなってしまっていることは問題だと思います。まず本人にその気があることが大事ですが、周りの人に頼ったりアドバイスを受け入れたりする素直さも婚活には必要です。