【富士】スリランカカレー専門店 タンバパンニ

すてきなお店探訪 【富士編】

富士市鮫島のスリランカカレー専門店『タンバパンニ』は、イオンタウン富士南の西方にある。店前ではカレー印の赤いのぼり旗がはためいていて普通のカレー屋を思わせたが、店舗前に立つと異国情緒が漂うエキゾチックなディスプレーが魅惑的だった。

インドカレーはカレー&ナンで知られるが、この店のようにカレー&ライスをワンプレートに盛り付けているスパイシーなスリランカカレーは富士・沼津地区では珍しいだろう。

オープンは2021年12月。店主のカマンタさんは、富士市内で食品雑貨店を開業し、続いてレストランを始めたそうだ。店はカップルや家族連れでにぎわい、外国人の来店も多い。この日もスリランカ人が食事をしていた。ただ偶然にも私の中学時代の後輩O君夫妻が取材中に来店し、日本人にも安心して食事ができる店なのだなあと感じた。

日本語も堪能な店主のカマンタさん

異国感漂う外観に期待が高まる

 

スリランカカレーは色鮮やかでヘルシーだ。熱帯植物のココナッツから抽出されるオイル、スパイス、野菜などをベースに作られる。取材時、私はカレーセット(1,500円)をいただいた。チキン、水菜、ブロッコリー&ニンジン、レンズ豆の4種のカレーに、南アジア産の高級米で軽い食感と香りが特徴のバスマティライス、そしてパパダンという豆粉のせんべいが一つの皿に盛り付けられ、食欲を誘う。ミニサラダ、セイロンティー、ブルーベリーゼリーも付いた。カレー以外のメニューも豊富で、スリランカ風炊き込みご飯のチキンビリヤニセット(1,700円)、スリランカ風トルティーヤ炒め(1,700円)、お子さまカレー(650円)などもある。辛さはお好みで選べる。

日本人の大多数はスプーンを使うようだが、現地の人は素手で食べるそうで、私も異国の食習慣にチャレンジしてみた。外国人がお箸を使うようなぎこちなさで、指でライスをカレーに混ぜて食べる。時折パパダンをパリパリ砕いてカレーにまぶし、同じくライスと一緒に口へ。カレーが指に熱くないわけではないが、次第に「素手食」に慣れる。辛すぎず、しつこすぎず、味わい深い風味が素手食の本場感覚とあいまって、現地にいるような臨場感を高めた。食後にカマンタさんが親切に声をかけてくれ、流水で手洗いをした。

店内には印象的な孔雀の絵

看板メニューのスリランカカレー

スリランカはインド洋に浮かぶ緑豊かな熱帯の国だ。日本から約9時間のフライトで到着できる。店名の『タンバパンニ』は「美しい海岸線が続くスリランカの銅色の砂浜」を意味するそうだ。古くから紅茶、スパイス、ハーブの生産が盛んで、日本と同じ島国だからカツオだしが使われることもあるそうだ。

スリランカと日本の国交樹立は70年以上前になる。古い交流の歴史があり、例えば太平洋戦争後の1951年、サンフランシスコ講和会議で、戦勝国による日本分割占領案が議題になった折、当時のジャヤワルダナ大統領が同じアジア人として愛に満ちたスピーチをし、分割占領案を阻止した。カマンタさんも「大統領が他界した時、遺言通りに右目はスリランカ人に、左目は日本人に献眼、角膜提供されました」と両国の親密さの一例を教えてくれた。

そんな話のあとに清潔で広々した店内を見物すれば、レンズ豆、ココナッツミルク、ライスが特に人気だという物販スペースは、まるでアジアン雑貨店にいるような雰囲気で、他にもチョコレートや石けんなどの色鮮やかなパッケージの品々が並んでいて、見ているだけで楽しくなった。

カラフルな食材が並ぶ物販スペース

今後の夢を聞くと「スリランカカレーを食べた日本の方が喜んでくれたら満足です」とほほ笑んだ。とても和気あいあいとした取材で、取材前はエキゾチックすぎるのではと不安もあったが、スポーツに国境がないようにカレー食にも垣根はなさそうだなあと感じた。テイクアウトもやっている。マニアックな本場感を求める人たちも、この店で、一般的なインド・ネパール料理とは少し違うスリランカの食文化を味わえることだろう。

(ライター/佐野一好)

タンバパンニ Tambapanni
富士市鮫島389-1-1F
TEL:0545-88-9442
営業時間:11:00~15:00、17:00~22:00
月曜定休 駐車場あり
※ 記事内にある各金額は取材時のもの

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