人生100年の時代、「最期はどこで……」2

人生100年の時代、「最期はどこで……」

前回は、自分や家族に介護が必要となった時、「どうしよう!」とならないための心構えや事前準備ついてお伝えしました。とはいえ、そもそもどんな状態になったら介護に踏み切ればよいのか。判断基準が曖昧な上に、家族間での介護に対する認識の違いや、「介護される側」と「介護する側」での受け入れ方の違いなどもあり、つい後回しにしがちです。

筆者自身もそうでした。事前準備が大切なことは頭ではわかっていたものの、介護に対する抵抗感もあり現実から目を背けていました。ところが、好きな仕事に邁進している最中で介護に直面。心構えも知識もないまま何とかしようと試みた結果、自分のライフスタイルが一変して心身共に苦しい状況に陥ってしまいました。

人生の最期を心地良くするのは自分の責任?

以前、超高齢化時代の特集記事を読んだ時、「自分を心地よくするのは自己責任」という一文が心に刺さりました。自己責任は厳しい言い回しに感じますが、介護を経験し時間を経るごとに腑に落ちていったのです。

介護を経験した方の多くが、自分を犠牲にして一生懸命に介護をしてきた日々が終ったあと、「本当は最期まで家に居たかったのかもしれない」「もっと本人の気持ちを聞いてあげればよかった」と後悔を口にします。ところが先日、後悔なく介護ができたと言う方に出会いました。理由を聞くと、本人の希望通りの介護と見送りができたのだと。「自立生活ができなくなったら施設に入れて。過度な介護や治療は望まない。棺に入れる時はこの服を着せて欲しい」など、本人が元気なうちに意思表示してくれていたそうです。

いずれ介護が必要になるであろう自分自身に置き換えて考えれば、介護する側の心身の負担を可能な限り減らし、「自分が望む居場所で、心地よく最期を迎える」のは自分の責任(自己責任)ではないでしょうか。

内閣府の調査によると、「要支援・要介護」の認定者数は2000(平成12年)で218万人、2023(令和5)年では708.3万人と、約20年で約3.2倍に増加(表1参照)。
年代別人口に占める割合では65~69歳2.9%、70~74歳5.8%、75~79歳11.8%と、5歳ごとに認定者数は倍増しています(表2参照)。

介護が必要になった主な原因は「認知症」16.6%が最も多く、次いで「脳血管疾患(脳卒中)」16.1%、「骨折・転倒」13.9%、「高齢に因る衰弱」13.2%、「関節疾患」10.2%(表3参照)。
誰が介護をしているかでは配偶者22.9%、子16.2%、事業者15.7%、別居の家族等11.8%、子の配偶者5.4%(表4参照)。
介護する同居者の年齢は、40代以下は約5.5%、50代 約20%、60代 約30%、70代27%、80代 約20%(表5参照)となっています。

人生100年の時代、どんなに健康に気を付けていても人間である限り心身は衰えていきます。この先を70歳80歳と自分らしく生きていく過程で、介護を上手く取り入れながら心地よく生きていく時代になったと言えます。「住み慣れた家で最期までのんびり暮らす」「価値観に合う施設で安心して老後を過ごす」など、人生設計のひとつに「最期はどこで……」を加えることも必要なのかもしれません。

介護は一人で抱え込まず、地域包括支援センターなど専門機関のサポートを受けることが大切です。「親をひとりにさせておくのが不安だけど、どうしたらいいのかわからない」「ある程度の年齢になったし、そろそろ介護について知りたい」などの不安も地域包括支援センターが窓口となり、介護に関するさまざまな相談に乗ってくれます。

前回の記事では介護サービス利用までの流れをお伝えしましたが、今回は自宅で暮らしながら受けられる介護サービスについて紹介します。下の一覧を参考にしてください。

在宅介護 自宅で介護サービスを利用しながら生活する

訪問介護
訪問介護員(ホームヘルパー・介護福祉士)による介護サービス
調理・洗濯・掃除などの「生活援助」、入浴・排泄・食事介助などの「身体介護」が利用できる。
※ 医療行為はサービスに含まれない。要介護度によって利用できるサービスが異なる。

短期入所生活介護(ショートステイ)
介護施設に宿泊してサービスを利用
介護老人福祉施設などに短期間宿泊(最短1日〜最長30日まで)し、食事や入浴等の日常生活の支援、機能訓練などが受けられる。
※ 退院直後の一時的利用、施設への入居待ち、家族の介護疲れや出張・外出時に利用可。

通所介護
介護施設に通ってサービスを利用
・デイサービス
日帰りで施設に通い(自宅が施設の送迎範囲内であれば送迎有)、食事・入浴・リクリエーション・日常生活の支援生活機能向上のための機能訓練(リハビリ)等のサービスが受けられる。
※ 要介護1〜5が対象。医療行為はサービスに含まれない。滞在時間の違いで提供サービスが異なる。

・デイケア(介護予防通所リハビリ)
日帰りで施設や病院に通い、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーション、日常生活の支援サービスが受けられる。
※ 要支援が対象。

※次回は「介護施設」について

(ライター/山崎典子)

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