人生100年の時代、「最期はどこで……」1

人生100年の時代、「最期はどこで……」

家族や自分の介護に直面する時、それは突然やってきます。「自分らしい居場所で自分らしく最期を迎える」を提唱するライターが、知っておくべき介護サービスや施設、利用するための手順について、自身の介護経験を交えながら連載します。

人はこの世に生を受けてから60年が経つと一度目の人生が終わり、新たに2度目の人生が始まります。これは中国の陰陽五行に基づいた思想で、十干・十二支の組み合せ60通りが一巡すると生まれた年と同じ暦に還り(還暦)、再び人生が始まるとされた考えです。

人生100年時代に突入し、還暦を迎えてからの人生時間は各段に長くなり、2度目の人生を存分に楽しむことができるようになりました。一方で還暦となる60歳に近づくにつれ、家族の介護、自分自身の老後に関する様々な問題に直面するようになります。かくいう筆者自身も50代後半、義両親に突然介護が必要になり介護離職、介護移住しました。介護の経験で痛感したのは、介護する側の苦労ばかりが注目され、介護される側の苦悩はおざなりになりがちであることでした。80年以上一生懸命に生きてきた義両親が、本意ではない施設に入居し最期を迎えるという切ない現実を目の当たりにし、人生の最期は価値観に合った居場所で迎えるべきだと思いました。

誰もが家族や周囲に迷惑をかけることなく老後を暮らし、人生の最期は住み慣れた場所で迎えることを理想としますが、介護が必要になる出来事は心の準備がないまま突然やってきます。

厚生労働省の報告によると、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる年齢「健康寿命」は、男性72.7歳、女性75.4歳とされています。シニア世代の健康意識は年々高まっているものの、認知機能や身体機能の低下などで日常生活に支障をきたすようになれば、介護を受けながらの生活を余儀なくされます。「介護」はネガティブに捉えるものではなく長い人生を穏やかに歩くために必要な手段ですが、介護が必要になったからと言ってすぐに介護サービスの利用や施設への入居ができるわけではありません。いざ介護が必要になったどうしよう!となる前に、介護サービスや施設を利用する手順、費用面など情報収集、今後どのように生活していきたいか意思表示するなどの事前準備が大切です。

介護保険で利用できるサービスは、要介護1〜5、要支援1〜2によって分けられます。地域包括支援センター・介護支援事業所で作成するケアプランは、介護や支援の必要性に応じてサービスを組み合わせ、いつ・どれだけ利用するかを決めるものです。その計画をもとに介護サービス事業所と契約を結ぶことで、介護サービスが利用できるようになります。

人生の最期を迎える住処(すみか)の種類は多岐にわたり、公共施設、民間施設によって入居金、月額使用料など各々です。自身の状況、家族の状況に合わせた介護計画を家族間で共有しておくことも大事です。

※次回は「在宅介護」「通所介護」について

(ライター/山崎典子)

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