愛してやまない『のっぽパン』ヒストリー
地元の味とのっぽパンをコラボ
バンデロール工場直売へGo!
沼津港から港大橋を渡り、少し右手に入ると『バンデロール本社工場』がある。毎月第1日曜日と第3日曜日は多くの人で大賑わいだ。お目当ては、焼きたてのケーキやパン、そして沼津市民、静岡県民が愛してやまない『のっぽパン』だ。ただののっぽパンではない。ここでしか買うことができない、地元企業とコラボしたご当地のっぽパンがずらりと並んでいる。この日訪れた私は、『富士宮焼きそばのっぽ』『一番亭餃子のっぽ』『西島プリンのっぽ』そしてフィッシュフライや牛肉コロッケをサンドしたハーフサイズののっぽパンも一緒に食べきれない数を買い……ご近所さんにお裾分けして舞い上がる気持ちを共有したのである。
3年ほど前から始まった工場直売市。お客さまからの熱い思いに後押しされ、10月3日に工場直売所が常設された。のっぽパンの他にもTシャツや小物類などのキャラクターグッズが所狭しと陳列されている。私のイチオシはミニトートバッグ。付属のキーホルダーが愛くるしくカワイイ。
こののっぽパン、ある時期にお店から姿を消したことがあるのをご存じだろうか。私自身、その出来事は知ってはいたものの、なぜ今現在のっぽパンが存在しているのか、またこの進化の理由は何なのか、恥ずかしながら今回のリポートをするまでまったく知らなかったのである。
のっぽパンは今を遡ること45年前の1978年にエヌビーエス株式会社(当時はNBのパンといって親しまれていた)から誕生した。細長くちょうど良い太さで食べやすく、パンの端までちゃんとクリームが詰まっている愛すべき菓子パンだった。そんなのっぽパンが2007年、エヌビーエスの事業再編成により製造中止となり、店頭から一斉に姿を消した。工場最後の操業日には、のっぽパンを愛するお客さまが「ありがとう、のっぽパン」という横断幕を掲げてお別れに来てくれたそうだ。惜しまれながらも製造中止となったのっぽパン。「再開はしないのか」という問い合わせが絶えることなく続いたそうだ。
現在、のっぽパンはバンデロールが製造販売しているのだが、ここでエヌビーエスとバンデロールの関係についてお話ししておこう。バンデロールは1972年にエヌビーエスの小売部門として設立された。事業再編成の際、多くのエヌビーエス社員がバンデロールに移籍となったのだが、その社員たちからも「このまま終わっていいのか?」「なんとか存続する手段はないのか?」という声が上がり始めたそうだ。社員とお客さまの熱い思いが実り、1年後の2008年、静岡パルシェにのっぽパン専門店をオープンすることが実現した。その後、のっぽパン発祥の地である沼津仲店商店街に店舗ができ、バンデロール直営店舗で限定販売し……徐々に販売網が広がっていった。その勢いに乗って2015年、沼津のご当地アイドル『オレンジポート』とコラボした『オレンジのっぽ』を発売。2016年、サークルKサンクスにてK-MIX『おひるま協同組合』とコラボした『じゃりじゃりいちごチョコのっぽ』の発売を皮切りにコラボのっぽパンを続々と発売。設備を充実させ、量産体制を整え現在に至っている。究極は工場直売所のオープンに合わせ発売した『天神屋しぞ〜かおでんのっぽ』。ん〜、その意外性に度肝を抜かれた。
「のっぽパンとお惣菜???」いくつものクエスチョンマークが頭の上に載る人も多いのではないだろうか。私もその一人であるが理由を聞いて合点がいった。バンデロールは焼きたてパンを販売するスタイルで、そもそもは惣菜パンが得意分野。つまりお惣菜をサンドしたのっぽパンは、エヌビーエスとバンデロールの「いいとこ取り」をしたパンなのである。会社が再編成され、長年愛されたパンが姿を消し、そして復活劇を果たした二つの会社の歴史を鑑みると、安易な言葉で表現できない複雑な思いが込み上げ、その味わいはひとしおなのである。
このリポートを通じて、のっぽパンは沼津のソウルフードであるとあらためて感じた。これからも老若男女たくさんの人に愛され続けるだろう。さて次はどんなコラボ商品が私たちを驚かせてくれるのか……今からワクワクが止まらないのである。
(ライター/reiko)
バンデロール工場直売所/工場直売市
沼津市西島町20-2(敷地内に駐車場完備)
TEL:080-1603-1819(店舗直通)
工場直売所:11:00〜17:00(月曜定休)
工場直売市:第1・第3日曜 9:30〜13:00
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