いよいよ春がやってきました!
肥料の種類もいろいろ
樹木医が行く! 第32回
いよいよ桜も咲き、春本番です。木々も芽吹きの季節となります。ホームセンターの店頭には色とりどりの草花、野菜苗、樹木苗木が所狭しと並びます。
そんな木々、草花の春の芽出しを良くするため、何を肥料としてあげようか?いつ施肥をしようか?と悩みながら、日々植物と向き合っている方も多いのではないでしょうか。今回は、春の芽出しを助けるための施肥について書きたいと思います。
まずは一般的な施肥の名称とその効果について、簡単にまとめました。
元肥または基肥(もとごえ、もとひ)
植物を植えたり植え替えたりする時、土に混ぜ込み、植え穴の下部にあらかじめ与える施肥方法で、一般的に有機質肥料や緩効性化成肥料を使います。リンは水で流れにくいのでリンを中心に施肥をします。
追肥(おいごえ、ついひ)
生長にあわせて与える施肥で、速効性肥料を使います。一度に多く与えず、少しずつ何回かに分けて与えることが通例です。
お礼肥(おれいごえ)
花の終わった花木や、収穫後の果樹などの体力回復のために与える肥料です。おもに速効性の肥料を使います。体力を回復させるだけでなく、翌年の花芽形成する力まで貯蔵させる必要があり、花後から2ヵ月程度集中的に施肥を行なうとされています。
寒肥(かんごえ、かんぴ)
一般的に庭木や果樹の春先の樹勢を良くするために、冬の休眠期間中、12~2月の厳寒期に与える施肥方法です。おもに腐葉土や堆肥などの有機物や、遅効性の有機質肥料を使います。
春肥(はるひ、はるごえ)・芽出し肥(めだしごえ)
春肥、もしくは芽出し肥として、3~5月に施肥する方法です。葉を重視した窒素分多めの速効性肥料を使用するのが一般的です。
秋肥(あきひ、あきごえ)
農業では、秋の収穫後に行なう施肥方法です。一種のお礼肥ともいえるかもしれません。来年春に向けた貯蔵養分を増やす効果を狙っています。ただし、葉がまだ青いうちに施肥し、素早く効かせないと効果が薄いとされます。9~11月上旬にかけて行なう施肥で、この時期は枝の徒長にはあまりつながらず、樹の内面の充実に使われるとされます。寒肥の代用という意味合いもあるかもしれません。
さて、みなさんはこの春の芽出しのためにどのように肥料をあげましたか?寒肥でしょうか?秋肥でしょうか?春肥でしょうか?
この3つのやり方は、与えた肥料分がどこに送られ、蓄えられるかがそれぞれ異なります。寒肥では根に蓄えられ、秋肥では幹や枝に蓄えられ、春肥では新葉・新梢・花の蕾へと直接送られる、といった具合です。
ちなみに、遅い春肥として5月頃に肥料を与えると、一般的に葉の緑を濃くしたり、果実を大きくしたりする効果があります。
このように、施肥はやり方次第でいろいろと効果が変わります。今回の解説を参考に、ぜひあなたの目的に合った肥料とタイミングを選んで、与えてみてください。
喜多 智靖
樹木医
アイキ樹木メンテナンス株式会社 代表取締役
弱った木の診断調査・治療に加え、樹木の予防検診サービス『樹木ドック』を展開中。NPO法人『樹木いきいきプロジェクト』では、東日本大震災で津波被害を受けた宮城県石巻市での除塩作業や学校における環境教育授業を継続中。
喜多さんのブログ『樹木医!目指して!』
アイキ樹木メンテナンス株式会社
NPO法人『樹木いきいきプロジェクト』
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