フェムケアに取り組んでみませんか?
産婆の住む街から 第15回
暖かな日差しに春の訪れを感じる季節となりました。2017年に法人化した会社が7歳の誕生日を迎え、私は産婆人生の集大成として2つの事業に猛ダッシュ中です。一つは地域で働く助産師を育成するためのスクール。開業助産師歴23年のスキルとマインドを後輩に伝えるべく、秋の開校に向けて大学の先生方と共同でプログラムを開発しています。もう一つはフェムケア事業。骨盤底筋訓練に特化していた事業を、もう一度女性の視点から見直しました。今回はその「フェムケア」についてお話します。
フェムテックやフェムケアは、「Feminine(女性の)」と「Technology」「Care」をかけあわせた言葉で、どちらも女性特有の健康問題に対する製品やサービスを指しています。政府が掲げる『経済財政運営と改革の基本方針2021』に「フェムテックの推進」という文言が入ったことで、公の場でも議論が活発になりました。さらに『現代用語の基礎知識選ユーキャン新語・流行語大賞』にフェムテックという言葉がノミネートされたことで、広く一般にも知られるようになりました。そのお陰で、月経やPMS(月経前症候群)、妊娠、更年期など、これまで女性が個々に我慢を強いられてきた問題が、莫大な労働損失を生み出す社会問題であったことが顕在化し、解決に向けた取り組みが活発になってきました。月経を記録して妊娠可能時期を予測するアプリやデリケートゾーン用の化粧品は以前からよく知られていますが、最近では東京ビッグサイトを会場とした「フェムテック」のイベントが毎年開催されるほどに大きな盛り上がりを見せています。
このように、新しく便利な商品が開発されて女性が暮らしやすくなるのはとても素晴らしいことです。また同時に、多くの女性にそれら製品の情報が伝わって、必要な人が使えるようになることが大切です。しかしそれ以上に、これまでは当たり前のこと、仕方のないこととして受け入れていた悩みや不快感・違和感に女性自身が意識を向けて、問題を軽減するために行動を起こすことが大きな意味を持つのだと思います。まずは女性である自分が心地よく生きていくために身体のお手入れを学んだり、心のありようを見つめて整えることから始めてみてはいかがでしょうか。
今回はその一例として、デリケートゾーンのお手入れについて紹介します。
デリケートゾーン専用の弱酸性のソープで洗いましょう。洗浄力が強すぎるソープでは、皮膚を健康に保っている常在菌まで流してしまい、トラブルのもとになってしまいます。
まずは、外陰部をお湯で軽く流して汚れを取り除き、充分に泡立ったソープを手のひらに取って、皮膚の上で泡を転がすようにして洗います。くぼみになっている部分には汚れがたまりやすいので、くぼみに添って指の腹でそっとなでるようにして洗います。また、陰毛が密集している部分は、指の腹を立てて小刻みにギザギザと動かしながら、毛根の汚れを浮かせるようにしましょう。最後に肛門の周囲を軽くなでたら、ぬるま湯でソープの泡を洗い流します。
拭く際にも、擦らず、抑え拭きで水分をしっかり取り除きます。
洗った後の保湿もとても大切です。ローションやクリームタイプのものは、おもに大陰唇周りの皮膚に向いています。大陰唇の内側や小陰唇などのさらに皮膚が薄い部分は、オイルやワセリンベースのものを使うとさらに保湿効果を実感できるでしょう。保湿剤は、清潔な指先で優しくなでるように塗ります。コットンやティッシュを使って塗ると、摩擦で皮膚を傷つけてしまう可能性がありますので、ささくれなどのない指の腹でやさしく塗ります。
堀田 久美
菜桜助産所代表 助産師・保健学博士
ほった くみ/富士市宮島で助産所を営み、出産・産後ケア・育児相談から、更年期 以降の女性の健康管理まで、出産を経験する女性の一生をサポート する「ママたちのお母さん」。母親のための各種教室も随時開催中。
菜桜助産所
訪問看護ステーション菜桜
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