急速に進む富士市の少子化問題

双子の子どもたち

産婆の住む街から 第11回

富士市主催の『多胎妊婦の交流会』でお話をさせていただきました。富士市では、毎年20組ほどの双子が生まれるそうです。今年第1回目の交流会には4組の双子妊娠中のご家族と多胎のサークルである『フジツインパワーズ』から3名の先輩ママが参加して、子育ての工夫や便利グッズなどの情報交換を行ないました。

2人の赤ちゃんを同時に育てるのは大変なこともありますが、富士市は産後ケアや家事育児サポート事業、そして菜桜助産所併設の『訪問看護ステーション菜桜』でも小さく生まれた赤ちゃんの訪問看護に力を入れており、充実したサポートが受けられる地域になってきたと思います。妊婦さんから「どうにかなるさって気持ちで頑張ろうと思います」との感想をいただき、市の職員さんたちと「大丈夫!市も民間も協力して、どうにかします!安心して」と答えたのでした。

そういえば、最近の富士市の出生数はどうだったかしらと思い立ち、市のホームページで年齢別人口表を確認してみました。今年1月1日時点の0歳児数は1,501人。じつは、毎日たくさんの赤ちゃん連れのママに囲まれている私には少子化の実感はあまりありません。しかし、とうとう1,500人を切ってしまいそうな数字に愕然です。2002年は2,513人。令和直前の2019年は1,701人、10年間で4割も減少しています。この数字からも、富士市は急激に出生数が減っていると考えてよさそうです。広辞苑に「少子化」という言葉が掲載されたのは1998年だったそうなので、それ以前からの変化を考えるとますます心配です。

少子化は富士市に限ったことではないのですが、昨年策定された『はぐくむFUJI少子化対策プラン』の冊子にさらに残念な事実が紹介されていました。平成22年から平成27年の出生率(人口1,000人に対する出生数の割合)の減少は、全国平均が6.1%に対して富士市は10.6%とハイスピードです。そして少子化の社会的影響要因で特に驚いたのが未婚率です。富士市の独身男女への調査で「将来、結婚したいと思うか」の項目に「はい」と答えた男性は83%、女性は87%にもかかわらず、2015年の未婚率は男性が48.1%、女性32.6%で、結婚への意欲や出会いの機会が減少しているためと分析されていました。参考までに2020年の国勢調査を確認してさらにびっくり。25歳から39歳の男性人口は19,888人で未婚者が10,164人(51%)、女性人口は17,855人で未婚者が6,078人(34%)とさらに上昇して、男性は半数超えです。

少子高齢化による経済成長や社会保障の負担への影響について、私は十分に理解しきれていないというのが正直なところです。そして結婚することや子どもを産むかどうかは個人的な問題であるとも思います。しかし、結婚や産みたい子どもの人数の望みをあきらめざるを得ない環境なのは大きな問題だと思います。

はぐくむFUJI少子化対策プランが設定している目指すべき将来像は「若い世代が結婚、妊娠・出産、子育ての希望を実現でき、すべての人がいきいきと安心して子どもを生み育てることができるまちふじ」です。まずは、結婚や出産・子育てに踏み切れないでいる人たちに、試行錯誤しながらもパートナーとの生活や子育てを満喫している様子を伝えてみようかと思います。

 

双子の子どもたち

幼い頃の長女と次女。じつは私も双子育児の経験者です。子育て中は不安を感じることもありますが、行政や地域の支援を活用しながら、子どもとの関わりを楽しんでほしいと願っています。

Hag Hug プロジェクト

富士市で出産・子育てをするパパやママ、そのご家族が知りたい情報を入手できるウェブサービスです。

www.fujimama.jp

堀田久美プロフィール

堀田 久美

菜桜助産所代表 助産師・保健学博士
ほった くみ/富士市宮島で助産所を営み、出産・産後ケア・育児相談から、更年期 以降の女性の健康管理まで、出産を経験する女性の一生をサポート する「ママたちのお母さん」。母親のための各種教室も随時開催中。
菜桜助産所
訪問看護ステーション菜桜

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