一時預かりで子どもも家族も幸せに

Baby Resort菜桜

産婆の住む街から 第14回

私たちが未就園児の一時預かり事業を始めて、今月で1周年を迎えます。『Baby Resort菜桜(ベビーリゾートなお・愛称ベビリゾ)』は一時預かり専門の施設で、法律で規定された保育事業を行なっています。法律と聞くと、何か特別な状況の時しか使えないと施設だと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。仕事をしていなくても、用事がなくても利用が可能です。保育の現場では「リフレッシュ利用」という言葉を使いますが、子育て中のご家族の心身を休ませる機会を作ることも、事業の目的の一つです。

Baby Resort菜桜

Baby Resort菜桜

 

「ベビーリゾート」という名前をつけたのは、ここを赤ちゃんにとってのリゾートにしようと思ったからです。おうちの人の都合で預けられた赤ちゃんが我慢して過ごす施設ではなく、「パパ、ママ、おうちで待っててね。ぼくはベビリゾでバカンスを楽しんでくるよ♪」と感じてもらえる場所にしたかったのです。おかげさまで、最初はぐずっていたお子さんも、慣れてくると到着した途端にお気に入りのおもちゃめがけて突進していくなど、楽しく過ごしてもらっています。また、パパやママ以外にも自分を可愛がってくれる人がいると感じられる経験は、子どもにとって幸せなことだと思います。

保育事業を始める際に受けた研修で、講師の先生がこんなことを言っていました。「昔の子どもはたくさんの大人と接しながら育ちました。気難しいおじいさんや陽気なおばちゃん、優しいお姉さんや面白いお兄さん。その中で子どもは、いろんなタイプの人との接し方を肌で覚えていきました。だからこそ、核家族化によって少人数に限定されたコミュニケーションしか知らない子どもにとって、保育所はいろんな人と関われる良い体験の場なんです」と。

ベビリゾには20代からベテランまで、幅広い年齢の保育士、子育て支援員の認定を受けた事務員がいて、助産師や看護師、理学療法士、健康運動指導士なども連携を取り合ってより良い保育が提供できるように努めています。「育児相談の窓口に行くほどの悩み事はないけれど、なんとなく孤独で寂しい」と感じているママは少なくありません。自分や家族以外にわが子のことをわかっていて、一緒にその成長を喜んでくれる保育の専門職と接する機会を持てることは、とても心強いのではないでしょうか。

それに加えて私たちが特に意識にしているのは、パパやママを応援し、癒し、守ることで、子どもの幸せにつなげていこうという考え方です。保育において子どもの最善の利益を考え、追求していくのはもちろんですが、その利益の実現のために、パパやママを応援することが大切だと思っています。小さな子どもとの生活は体力勝負で、目を離すこともできずに気持ちが張りつめた状態が続きます。富士市が行なった調査で、「日頃、お子さんをみてもらえる親族・知人はいますか?」との問いに「日常的に祖父母等にみてもらえる」と答えた人は4割弱でした。しかし「孫ブルー」という言葉(孫の世話に追われ、疲れ果てて体調不良になってしまうこと)もあるように、子どもの世話を家族だけで抱えるのは大変です。子どもからずっと離れられずにいて、子育てに疲弊してしまうよりも、子どもの顔を見て「あー、可愛い!」と思える時間を少しでも長くしたい。子育て中のパパやママがこういった心の余裕を持てることにこだわっています。

今回は一時預かりの話でしたが、助産所や母子への訪問看護、子育て講座の開催など、私たちが行なう他の事業や支援してくださる人々と連携しながら、これからも子育て中のご家族がこの街で安心して暮らしていけるお手伝いをしたいと考えています。

堀田久美プロフィール

堀田 久美

菜桜助産所代表 助産師・保健学博士
ほった くみ/富士市宮島で助産所を営み、出産・産後ケア・育児相談から、更年期 以降の女性の健康管理まで、出産を経験する女性の一生をサポート する「ママたちのお母さん」。母親のための各種教室も随時開催中。
菜桜助産所
訪問看護ステーション菜桜

Baby Resort菜桜
(ベビーリゾートなお)

富士市富士町13-16
TEL:0545-67-5503

 

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