10月は「ピンクリボン月間」です

産婆の住む街から 第6回

朝夕涼しく過ごしやすい季節になってきました。天高く馬肥ゆる秋!かぼちゃ、お芋、栗、今年はどんなスイーツがコンビニに並ぶのかワクワクしています。

10月といえばピンクリボン月間。乳がんの存在を毎年思い出して気を引き締め直す時期です。乳がんは女性のがん罹患率の圧倒的第1位。11人に1人が乳がんになります。年齢的には30代から増え始めるといわれていますが、20代でも、授乳中でも、そして男性でも乳がんになる方はいるのです。

以前、小さなお子様連れの方に「もう授乳は終えたのに、片方の乳首だけいつもベタベタしてかゆくなる」と相談されました。軽く乳輪をつまむと、どろっとくすんだ赤い乳汁が出てきます。すぐに乳腺外科で受診してもらいましたが、すでに進行した乳がんでした。出産直後にも同じように出てきて、病院で心配ないと言われたので今回も大丈夫だと思っていたそうです。たしかに、産後数日は生理的に血乳という血液混じりのお乳が出ることがありますが、それが何ヵ月も続くことはありません。もっと早く出会えていたらー。私が助産院を始めてまもなく20年、そろそろ富士市の女性たちに「とりあえず菜桜助産所に相談してみるかな」と思ってもらえる存在になりたいです。

乳がんは、多くの女性が罹患するとても怖い病気ですが、しこりが2cm以内で他の部位への転移がなければ、9割は治るといわれています。つまり早期発見が最大のポイントなのです。そのためにやることは2つだけ。1〜2年に1回の検診と月に1回のセルフチェックです。しこりができない乳がんもあるため、セルフチェックだけではダメですし、急激に成長する場合もあるので検診だけでも不十分です。ちなみに、富士市では2年に1回検診の補助が受けられるほか、41歳の時には無料クーポン券が配布されます。検診は痛そうで怖いという方は、検査の時に乳房を触られて痛みを感じやすい排卵後(月経予定前の2週間)を避けて、月経後の時期に予約してみてください。

この機会に、まずは乳がんのセルフチェックを始めてみましょう。生理が始まって1週間後。閉経後や月経不順の方は毎月、日にちを決めて実施しましょう。右の①~④で気になる症状があったら、早めに乳腺科を受診しましょう。しこりのすべてが悪性ではありません。以前に受診して問題がなくても、別の場所にしこりを見つけたら、再度受診してください。


乳がんセルフチェック

    1. 頭の後ろで腕を組んで鏡の前に立ち、乳房や乳輪に膨らみやひきつれ、くぼみ、変色がないかを見る。
    2. 4本の指で位置を少しずつ変えながら十円玉くらいの円を描くように乳房全体をなでる。お風呂の中で石鹸をつけてやるとスムーズにできる。
    3. 乳首をつまんで分泌物が出てこないか確認する。両方の乳首の数ヵ所の穴から透明な液が出てくる場合は心配ないことが多いが、片方の乳首の1ヵ所だけから赤や茶褐色の分泌物が出る場合は要注意。

      乳がんチェック3

      チェック(3)

    4. 背中に6つ折りバスタオルを敷いて、仰向けに寝て手のひら全体で乳房を縦方向、横方向になでる。滑りにくい場合は、スーパーでお肉を入れるビニール袋を胸の上に置いて、上になっている方のビニールと肌に触れているビニールをずらすようにしながら触ると分かりやすい。

      乳がんチェック(4)

      チェック(4)

堀田久美プロフィール

堀田 久美

菜桜助産所代表 助産師・保健学博士
ほった くみ/富士市宮島で助産所を営み、出産・産後ケア・育児相談から、更年期 以降の女性の健康管理まで、出産を経験する女性の一生をサポート する「ママたちのお母さん」。母親のための各種教室も随時開催中。
菜桜助産所
訪問看護ステーション菜桜

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