老化を朗らかに 笑って歳を重ねよう1

人生は老いるから面白い

今までできていたことが、ある時できなくなっていることに気づき、ショックを受けたことはありませんか?例えば鉄棒の逆上がり。私はある日、公園の片隅にある鉄棒を見かけ、何十年ぶりの逆上がりに挑戦。小学生時代は特技としていた逆上がり、簡単じゃん!ところがいざやってみると足が45度までしか上がらない。再度挑戦してみたものの、足は一向に上がらず「くの字」状態が精一杯。これが「老いるショック」というものか……。

※ 老いるショック=思わぬところで自分の老いを突きつけられてショックを受けることを表した造語。クリエイターのみうらじゅんさんが2018年に提唱した。

筆者が逆上がり事件で老いるショックを受けたのは50代後半でした。「いつまでも元気だね」という周りからの誉め言葉に浮かれ、老化から目を背けていたことを反省しました。老いるショック未経験の方も、加齢によってできなくなることをあらかじめ知っておくことは、身のため(自分と向き合い、身体を大切にする機会)になるかもしれません。

【筆者の個人的見解による】
加齢事情 できなくなること10選

1.背中のファスナーが一番上まで上げられなくなる

2.「どっこいしょ」と言わないと立ち上がれなくなる

3.ビンの蓋が開けられなくなる

4.九九が完璧に言えなくなる

5.素直に実年齢を言えなくなる

6.スマホでスタンプを探しているうちに返信する気力がなくなる

7.スマホの広告で小さな「×」が押せず広告が消せなくなる

8.食べ放題で元を取ることができなくなる

9.休日に一気に遊び倒すことができなくなる

10.信号が変わりそうな時に10メートル前からダッシュして渡りきることができなくなる

理由を知れば、またできるようになる?

ところで、老化するとなぜいろいろなことができなくなるのでしょうか?その理由を知れば、解消法や改善策が見えてくるはず。

背中のファスナーを一番上まで上げられないのは?
肩周りの筋肉や関節の柔軟性の低下が原因と考えられています。年齢を重ねると肩甲骨や肩周りの可動域が狭くなり、手を後ろに回す動きが難しくなります。解消するには肩周りのストレッチや筋力トレーニングが効果的です。

「どっこいしょ」と言わないと立ち上がれないのは?
身体にかかる負担を意識的に軽くしようとする自然反応の一つで、声を出すことで力を入れやすくし、身体を動かしやすくするといわれています。何も言わずに起き上がる時と比べ、声を出すことで集中力が高まり、身体のバランスを取りやすくなるという心理的な効果もあります。「どっこいしょ」は身体を支えるリズム的なもので、気合を入れるために使うことが多い日本人になじみやすいかけ声だそうです。おおいに「どっこいしょ」と言いましょう。

休日に一気に遊び倒すことができなくなるのは?
加齢により筋肉や神経の回復速度が落ち、長時間の遊びが翌日の疲労に直結するため、休日は遊び倒すより休養を優先しなければと考えるようになるためです。脳科学的には歳を重ねると新しい挑戦や未知の体験が減り、脳への刺激が少なくなって快楽を感じる神経回路が弱まります。遊びに対して若い頃ほどワクワクしなくなるのはそのためです。年齢そのものよりも、行動力や好奇心を失うことが老化の原因ともいわれています。ちょっとでも行きたい、やりたいと思ったら、まず行動してみましょう。高齢の方でも遊び続けている人は若々しく、いきいきしています。

信号が変わりそうな時に10メートル前からダッシュして渡りきることができなくなるのは?
信号が変わりそうだと感じた瞬間に「走ろう!」と判断して身体を動かすまでの神経伝達速度が、歳を重ねるとともに少しずつ遅くなるためです。加えて、短距離ダッシュやジャンプに必要な瞬発力を生む筋肉(速筋)が萎縮、減少するため、スタートダッシュも鈍くなります。また心理的に、無理に渡って失敗(転んだり、渡りきれず右往左往)した時の映像が先に浮かび、若い頃は「ギリギリでも渡れる」と思えたものが、歳を重ねると「転んだら危ない」とブレーキがかかるようになるのも大きな要因です。速筋を鍛え直して挑むより、次に青になるまで待つ。そんな心の余裕を持ちたいものです。

素直に実年齢が言えないのは?
若さ=気力、精力、美しさ、可能性などポジティブな価値観と結びつけられ、実年齢との差を感じて自己肯定感が低下するのを避けたいためだと考えられます。高齢になることに対して、無意識または意識的な偏見や差別的な見方をしてしまい、年齢を言うことで能力の衰え、時代遅れなどネガティブに見られることへの恐れがあることも。年齢は単なる時間の経過を示す数字で、社会的な価値観のチェックリストではありません。自身の価値や魅力は、年齢という数字とは無関係。張り切って「〇〇歳」と言いましょう。

スマホでスタンプを探しているうちに返信する気力がなくなるのは?
スタンプを選んで送信するのは、軽い行為に見えて、じつは脳にとっては重労働だからです。文章入力よりも楽なように思えますが、選択肢が多すぎるためスタンプを決定する疲れ、気持ちをスタンプに換えて正確に表現しようとする感情調整の疲れが発生するためです。解決方法は、固定のスタンプを3つだけ決める、スタンプではなく短文1行に切り替える、「今は返信しない」と決めて閉じる、などがあります。


 

今までできていたことができなくなることを、一般的に老化現象と呼びます。時間的経過に伴い、人間として生きて活動する限り誰にでも起こる衰退プロセスです。老化を意識し始める年齢には個人差がありますが、肌の張りがなくなる、体力の低下を感じるなど、身体の変化に気づくのが一般的に30代後半から40代前半で、シワ、たるみ、白髪、視力や聴力の低下、腰痛、関節痛など加齢による変化が目立ち始めるのが40代後半から50代。老化は30代で気づき、40代で認め、50代で受け入れるもの、ともいわれています。

数年前、80歳を目前にした叔父からの年賀状に「貯金と軟骨は減るばかり」と書かれてあり、正月から大笑いしました。最近になってあらためてその年賀状を見たところ、笑うどころかうなずくばかり。「試着室の鏡に映った自分にびっくり」「初めてのシニア割、免許書を用意して臨んだが顔パスだった」「眼鏡を探していたら自分の頭にかかっていた」「用事を思い出して立ち上がった瞬間に何の用事か忘れた」などなど、年を取ると面白い現象が次々に起こります。老化は誰もが経験するもの、老いるショックを笑いに変えて、朗らかに年を重ねていきましょう。

(ライター/山崎典子)

次回はセルフメディケーション「骨粗しょう症」体験記の予定です

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