フジサンタカイネ【アメリカからようこそ】
富士山周辺を訪れた外国人に 突撃インタビューしてみました
いつもはJR新富士駅を(勝手ながら)ホームグラウンドとしている当コーナーだが、今回は少し足を延ばして富士宮市の富士山本宮浅間大社へ。3月下旬、武田信玄が寄進したという伝承から『信玄桜』とも呼ばれる境内の美しいしだれ桜がほころび始めたという知らせを聞き、「これは外国人観光客がやって来るに違いない」という直感だけを頼りに訪れてみたのだが、その結果は見事に「サクラサク」だった。
参道を進んだところで運良く出会えたのは、メキシコ系アメリカ人で西海岸のシアトル近郊に在住のホセ・ルイスさん。食品工場に勤務する32歳の男性だ。一見するとイケメン日本人旅行者かとも思われたが、「コレ」という片言の日本語とゼスチャーだけで露店のチョコバナナを購入しているところで確信し、声をかけた。チョコバナナを持つと妙に少年っぽい笑顔が爽やかなホセさんだが、来日は初めてで、約3週間で全国を駆け足で巡っているという。東京→富士・富士宮→大阪→広島→鹿児島→京都→奈良の順で、ほぼ2泊ずつというハイペースで周遊するそうだが、新幹線乗り放題のフリーパスを駆使するという大前提がなければ到底あり得ないダイナミックなルート設定に、「ほんとに行くんですか?」と、こちらの方が心配になってしまう。旅行が趣味で、最近ではニュージーランドやアイスランドを旅したそうだが、これまでに出会った個人旅行者と同様、ガイドブックなどは持っておらず、スマートフォンひとつであらゆる情報を集めながら旅をしているという。英語のウェブサイトで日本各地の名物やお得な情報などを調べているそうで、JRのプリペイド型電子マネー『Suica(スイカ)』まで持っていた。
富士宮には前日にやって来て、素泊まり3,000円弱のバックパッカー向けゲストハウスに宿泊。この日の朝は5時起きで田貫湖や白糸の滝まで行き、午後は徒歩で富士宮市街を散策しているという。「日本の文化には伝統的なものと近代的なものが両方あって、しかもそれらが豊かな自然と混ざり合っているところに一番の魅力を感じます」とホセさん。その中でも富士山を間近で見ることは念願だったそうで、「できれば登りたかったんですけど・・・」と言いつつも、全容を見せてくれたこの日の富士山の姿には満足そうだった。「こういう美しい形の山は珍しいでしょう?」とやや得意げに聞いてみると、「はい、でもシアトルから見えるレーニア山にそっくりですね」という予想外の回答が。その場でスマートフォンの中にある写真を見せてもらったところ、本当にそっくりで驚いた。まさしくシアトルの「ご当地富士」といったところだが、レーニア山の標高が約4,400メートルもあると聞いて、なぜかちょっとだけ悔しかったのは、「最高峰」の称号に慣れている富士市民の悲しき性なのかもしれない。
(ライター/飯田耕平)
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