人生100年の時代、「最期はどこで……」4

高齢者施設編 特別養護老人ホーム
高齢になっても安心して心地良く暮らすために、元気なうちから介護の備え、最期の住処について考えておく必要があります。
前回までは、突然やってくるかもしれない家族や自分自身の介護問題、事前に準備しておくこと、介護サービス利用までの流れ、高齢者の相談窓口となる地域包括支援センターの存在をお伝えしてきました。今回から高齢者施設について詳しくお伝えてしていきます。
入居待ちが出るほど人気の高い特別養護老人ホームとはどんなところ?
高齢の親や家族の健康状態・身体機能が低下し、日々の生活に不安、不便を感じるようになったとき、介護が現実味を帯びてきます。自宅での介護(在宅介護)が困難な場合、高齢者施設へ入居することになります。
高齢者施設は大きく分けて、地方公共団体、社会福祉法人、医療法人などが運営する公的施設(介護保険施設)と、民間企業が運営する民間施設があります。公的施設は比較的安い利用料で介護サービスを受けられるため非常に人気が高く、地域によっては申し込んでもすぐに入れない場合もあります。
公的施設には、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院などがあります。施設ごとに入居条件、月額利用料、受けられるサービスなど特徴が異なるので、予算、立地、施設内の雰囲気など希望条件に合うかどうか、事前に資料請求や見学をすることも大切です。
特別養護老人ホーム (特養) |
入居条件:要介護3以上 / 在宅介護が困難な要介護の高齢者に介護や日常生活上の世話、機能訓練などを提供 ※終身利用可 |
介護老人保健施設 (老健) |
入居条件:要介護1以上 / 在宅復帰を目指す要介護の高齢者に介護やリハビリテーションなどを提供 ※入居期間3ヵ月 |
介護医療院 | 入居条件:要介護1以上 / 長期療養が求められる要介護の高齢者に介護や日常生活上の世話、医療ケアなどを提供 |
なかでも特別養護老人ホームは、「待機者100人」「入居1年待ち」と話題になるほど人気です。その理由は、月額利用料が約5~18万円(入居者の所得・保険割合・介護度により異なる)で民間施設に比べ低料金で、看取り対応もしてくれるため人生の最期まで暮らすことが可能だからです。近年では入居条件が要介護1以上から3以上に引き上げられたことや、高齢者施設の増加、同時に複数の施設へ入居申込をする人が多くなったことで、以前と比べれば入りやすくなっているようです。
特別養護老人ホームの特徴
在宅での生活が困難な要介護3以上の高齢者が、日常生活の介助・機能訓練・健康管理などのサービスを受けられる施設です。65歳未満でも特定疾患が認められた要介護3以上の人や、要介護1~2でも諸事情で在宅生活が困難な人の入居が可能な場合もあります。入居者100人に対し担当医師1人、看護師は3人以上が配置され、医療ケアも対応します。
- 居室(部屋)
施設ごとに異なりますが、従来型個室(1室1人で利用)、従来型多床室(1室に対して複数のベッドが配置)、ユニット型個室(1ユニット約10人で1室1人、簡易キッチン・トイレなどは共有)、ユニット型個室的多床室(多床室を改装・分割して作られた個室)があり、広さは病院の大部屋、個部屋のようなイメージです。立地によっては部屋から海を眺めたり、雄大な富士山を眼前に日々を過ごしたりと、自然に触れながら心穏やかに過ごせるような間取り配慮がされています。ユニット型個室
富士山が見える部屋
- 施設設備
居室、食堂、機能訓練室、静養室、医務室、談話室、浴室などが揃います。浴室には一般家庭にあるような個浴、寝たままや座ったままの状態で入浴できる機械浴など、その人の状態にあった入浴ができる設備があります。浴室
- 日々の過ごし方
基本的な一日の過ごし方は入居者の介護度、健康状態によって異なりますが、食事や入浴、機能訓練、お茶タイム、レクリエーション、趣味活動など、起床から就寝まで規則正しい生活リズムで過ごせるようにスケジュールが組まれています。餅つき大会、芋掘り、クリスマス会など季節のイベントもあり、他の入居者やスタッフとの交流も楽しみながら暮らします。お花見
餅つき
- 施設スタッフからのアドバイス
「自分の家族が要介護状態になったとき、どうしたらいいのかわからない、いつまで今の状態が続くのか、いつまで介護を頑張ればいいのか、先が見えないことへの不安が大きいと思います。家族がつぶれてしまう前に早く専門機関に相談することが大切です。施設では少しでも家族の負担が楽になるように、お手伝いさせていただきます。」
(ライター/山崎典子)
※次回は「介護付き有料老人ホーム」について
【取材協力】
社会福祉法人 鑑石園(富士市原田1350-16)
https://kansekien.com
介護サービスを利用する場合は、事前に要介護認定を受ける必要があります
「どんな状態になったら介護を意識すればよいのか?」の判断目安として、要支援1〜2、要介護1〜5の介護度の状態一覧を参考にしてください。
要支援1 | 基本的な日常生活はできるが、買い物、掃除、家事など一部手助けが必要 |
要支援2 | 立ち上がりや歩行が不安定であるため、杖、手すりが必要。一部見守り、手助けがあれば日常生活ができる |
要介護1 | 身体能力や思考能力の低下がみられ、入浴時の見守り、着替えなどの複雑な動作といった日常生活の一部で介助が必要 |
要介護2 | 認知機能の低下、立ったり歩いたりすることが困難で、お金の管理、服薬など日常生活の見守りや介助が必要 |
要介護3 | 立ち上がり、歩行、食事、排泄、着替え、入浴など、一日の大半で介護が必要。認知機能の低下がみられ、問題行動を起こす場合がある |
要介護4 | 自分で座ったり立ったりできず、日常動作に介護が必要。意思疎通が難しい場合がある |
要介護5 | 日常生活のすべてを自分で行なうことができず、意思疎通が困難なため全面的な介護が必要 |
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