思い出のランドセルギフト

アフガニスタンに贈られたランドセルと少女たち

©国際協力NGOジョイセフ
アフガニスタンに贈られたランドセルと少女たち

産婆の住む街から 第13回

毎年3月の一大イベント『ホワイトリボンラン富士』に社員と一緒に参加することができました。今年も本当に楽しかった!皆でおそろいのアンダーアーマ―のTシャツを着て、女性の健康と権利を願いながら歩いたり走ったりおしゃべりしたり。以前の私は、誰かの役に立つためには我が身にむちを打ち続けるしかないと思い込んでいたので、楽しんで誰かのためになれるなんて、目から鱗。社員たちも海外の現状を学び、日ごろ取り組んでいる自分たちの仕事の意味を再確認できる良い機会になったようです。

そんな素敵なイベントを開催してきたNPO法人『楽しいことやら座』で今年から新たに取り組むのが『思い出のランドセルギフト』です。卒業して使わなくなったランドセルを日本からアフガニスタンに贈る公益財団法人ジョイセフの活動は、2004年にスタートして、これまでに26万個のランドセルが贈られたそうです。小学4年生の国語の教科書にも掲載されているこの活動をテレビなどで見たことがある方も多いかと思います。日本から届いたランドセルを渡されて、誇らしそうに背負う女の子たちの写真はとても印象的です。

アフガニスタンでは、2022年12月に女性が大学教育を受けることが禁止されました。中学・高校での教育も停止されたままであることから、女性が教育を受けられる機会が小学校のみになってしまいました。教育できなくなると女性の医療職も養成できないため、家族以外の男性に肌を見せられない女性は病気になっても診察を受けられなくなる事態が心配されています。アフガニスタンの妊産婦死亡率は日本の約128倍といわれていますが、診察も受けられず、読み書きもできない女性に安全な妊娠・出産のための教育を行なうのは容易ではないでしょう。

貧困によって小さな子どもも労働力とみなされてしまう状況です。小学校を卒業できる女の子は10人中4人、男の子でも6人しかいないそうです。読み書きができるようになり、自分や家族を守る知識や情報にアクセスできるようにするためには、学ぶ機会が必要です。丈夫でカラフルな色のランドセルを背負う子どもたちの姿は教育に対する意識を高めるシンボルとなり、子どもたちを学校に向かわせる助けとなります。「我が子にも素敵なランドセルを」という親心は、日本もアフガニスタンも同じなのですね。

アフガニスタンでは、小学校に上がる年齢の子どもは年間約7万人。日本中から集められたランドセルは1年に2回ほど船で海を渡ります。到着したランドセルは小学校に運ばれ、学用品や健康に関するパンフレットと一緒に子どもたちに渡されるので、学習の機会に加えて家族への健康教育にもつながっているそうです。

このランドセル寄贈イベントが、来月富士市内で初開催されます。おうちに眠っているランドセルや学用品が遠い国の女の子を笑顔にし、その家族の命を守る手助けになるかもしれません。

堀田久美プロフィール

堀田 久美

菜桜助産所代表 助産師・保健学博士
ほった くみ/富士市宮島で助産所を営み、出産・産後ケア・育児相談から、更年期 以降の女性の健康管理まで、出産を経験する女性の一生をサポート する「ママたちのお母さん」。母親のための各種教室も随時開催中。
菜桜助産所
訪問看護ステーション菜桜

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