「産後うつ」気づいて!つないで!(2)

『ホワイトリボンラン』の会場風景

産婆の住む街から 第9回

女性の健康と権利を願うホワイトリボンをご存じですか?

ホワイトリボンは、女性の健康と権利の大切さを伝える国際的なシンボルマークです。国際協力NGOジョイセフが取り組んでいる『ホワイトリボンラン』では、お揃いのTシャツを着て女性の健康と権利を願いながら走り(歩くのもOKです)、エントリー費の一部を発展途上国などに寄付して女性たちのために役立てています。世界ではいまだ一日に800人以上の女性が、妊娠・出産・中絶が原因で命を落としているのだそうです。

私は、初めてホワイトリボンランに出会った時に遠い国のこの現状を聞きながら、じつは日頃自分が目にしているママたちのことを思い浮かべていました。医療環境が整っていて、せっかく母子ともに健康に出産を終えることができたのに、産後に毎日もがき苦しんで、自殺までも考えている女性がたくさんいます。

「産後うつ」は、ホルモンの急激な変動や慣れない育児への不安、環境の変化や睡眠不足が関わっているといわれていますが、それだけでしょうか?私は、今の日本のママたちは遠慮なく迷惑をかけられる誰かや、何を知られても気兼ねがいらない顔見知りがいないことも問題だと思っています。そして、他人だからこそできること、助産院と併設だからできることがあると考えて、産後ケアを中心とした訪問看護ステーションを始めました。看護師が何度も何度も家に伺い、当初は目もうつろで寝たきりだった方が、ゆっくりですが確実に元気になっていく姿を何回も見ることができました。

そんな中でホワイトリボンランに関わるようになって、富士市にはびっくりするほどたくさん、子育て中の人を応援したいと思っている人がいることを実感できたのです。富士で開催されるホワイトリボンランは今年で4回目を迎えます。2022年3月5日(土)に富士マリンプールを会場とした田子の浦拠点、翌6日(日)には富士市中央公園を会場とする富士拠点が開催されます。富士市内の、そして世界中の母子の幸せを願う方にはぜひ参加していただきたいと思います。

走るのはちょっと難しいという方もご心配なく。妊婦さんや高齢の方、ベビーカーや抱っこでも無理なくお散歩ペースで参加できます。また、今まさに子育てに奔走していて自分たちのことで精一杯という方も、わが子と命があることに感謝して、ちょっとだけ誰かのためにあなたの時間とお金を使って参加してみませんか。参加したすべての人にきっと何か温かいものを受け取っていただけるイベントになると思います。

『ホワイトリボンラン』の会場風景

『ホワイトリボンラン』の会場風景

 

ホワイトリボンラン大会Webサイト
https://white-ribbon.org/white-ribbon-fes/white_ribbon_run/

堀田久美プロフィール

堀田 久美

菜桜助産所代表 助産師・保健学博士
ほった くみ/富士市宮島で助産所を営み、出産・産後ケア・育児相談から、更年期 以降の女性の健康管理まで、出産を経験する女性の一生をサポート する「ママたちのお母さん」。母親のための各種教室も随時開催中。
菜桜助産所
訪問看護ステーション菜桜

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