人生100年の時代、「最期はどこで……」5

高齢者施設編 介護付き有料老人ホーム

「最期の時まで住み慣れた自宅で過ごしたい」と誰もが望みますが、60、70、80と年齢を重ねていく上で、介護付き高齢者施設へと人生最後の引越しをする日が訪れることもあります。その最たるタイミングは介護が必要になり、自宅での生活が困難になった時ですが、「心身の自由が利かなくなってきたけれど、子どもに迷惑かけたくない」という思いと、「離れて暮らす高齢の親の様子が心配だけど仕事があるし」とした子ども側の気持ちが相まった時、配偶者に先立たれ一人での生活が不安になった時など、さまざまです。

そして、自宅を離れ移り住む場所は、これから先の人生をいかに心地良く過ごせるかを左右する居場所となります。どのような施設が自分のライフスタイルに合うのか、費用、立地、施設内の雰囲気、部屋の間取り、受けられるケアの種類など、そのタイミングが訪れる以前から、家族で話し合ったり、調べたりすることが大切です。

特別養護老人ホームと介護付き有料老人ホーム何がどう違う?

前回は、公的施設の「特別養護老人ホーム」について紹介しました。今回は民間施設の「介護付き有料老人ホーム」について紹介します。その前に、どちらも24時間対応の介護サービスを受けられる高齢者施設ですが、特別養護老人ホームと介護付き有料老人ホームでは、何がどう違うのでしょうか。おもなポイントを以下にまとめました。

特別養護老人ホーム
(特養)

運営主体:地方公共団体・社会福祉法人・医療法人などが運営
費  用:月額使用 約5~18万円
入居条件:原則要介護3以上
サービス:日常生活の介護サービスを提供
終身利用:可能
そ の 他 : 比較的安価で人気が高いため入居待ちが発生しやすい

介護付き有料老人ホーム

運営主体:民間企業が運営
費  用:15~40万円 施設によって入居一時金が必要
入居条件:自立から要介護5(施設により異なる)
サービス:日常生活の介護に加えて生活を豊かにする娯楽サービスも提供
終身利用:一般的に可能(施設形態による)
そ の 他 :費用・設備・受けられるサービスは施設によって大きく異なる

 
 

介護付き有料老人ホームはどんなところ?

介護付き有料老人ホームは、都道府県から介護保険の「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。原則65歳以上の方なら入居可能ですが、要介護認定を受けている方を対象とした「介護専用施設」、自立して生活できる方と要介護の方どちらも入居できる「混合型施設」などがあり、施設によって受け入れ対象が異なります。介護スタッフ、看護師、ケアマネージャー、生活相談員、機能訓練指導員が配置され、24時間体制でトータルケアに対応します。

  • 費用
    入居一時金(居室や共用スペースの利用権を確保するための初期費用として入居時に支払う前払い家賃のようなもの)0円~数千万円、月額利用料(家賃+食費+管理費+介護保険負担額)約15~40万円。立地、設備、サービスの種類など、施設により費用は大きく異なります。
  • 居室
    プライバシーが確保された個人専用の部屋が一般的で、夫婦で入居できる2人部屋や、ユニットタイプの部屋などを有する施設もあります。部屋には介護用電動式ベッド、クローゼット、エアコン、個室トイレ、洗面台、ナースコールなどが設置され、インテリアや家具など持ち込みも可能です。浴室は共用が一般的で、入居者の状態に合わせて特殊浴室や個浴室を利用します。

居室

機能訓練室

 
  • 日々の過ごし方
    生活リズムを整える規則的なスケジュールに、体操、レクリエーション、イベント活動などが加えられ、日々楽しく過ごせるように配慮されています。入居者同士の交流を楽しんだり、部屋で一人の時間を過ごすこともできます。また、介護度が進んでも住み替え不要で、要望に沿ったターミナルケア、看取り対応も行ないます(施設によっては不可)。
  • 施設からのアドバイス
    施設選びで大切なのは、ご本人の意向に寄り添いながら介護の質を確保することだと思います。ご家族の意見だけではなく、できればご本人といろいろな施設を見て選んでいただきたいです。入居者の心のよりどころはご家族です。たくさん話を聞いてあげたり、頑張っていることを褒めたり、心の支えとなっていただきたいです。
  • 入居者インタビュー
    Nさん(93歳)入居10年目
    事故に遭い、要介護状態の妻の世話ができなくなったことをきっかけに、夫婦で入居しました。スタッフの方が親切で居心地が良く、日々の生活ではカラオケや絵手紙、書道などを楽しんでいます。今では筆で漢詩を書くことが趣味となり、生きがいとなりました。誰しも自分の家で最期を迎えたいのが本音だと思いますが、現実は難しい。今はこのような施設があります。少々費用がかかっても入居することで子どもは自由に仕事ができるし、親子がお互い気楽に過ごせて幸せだと、自分は思います。

リハビリ風景

習字を楽しむ

穏やかな時間を過ごす

(ライター/山崎典子)

※次回は「グループホーム(認知症対応型共同生活介護)」について

【取材協力】
株式会社ウェルビーイング
 沼津市大岡2262-4
 https://w-being.jp/

介護付有料老人ホーム
 ウェルビーイング富士三ツ倉
 入居一時金なし 月額使用料166,900円~

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