フジサンタカイネ【ドイツからようこそ】

ドイツからやって来たフロリアンさん(左)とエリザベスさん(右)

富士山周辺を訪れた外国人に 突撃インタビューしてみました

令和改元に伴う空前絶後の「スーパーゴールデンウィーク」が過ぎ去った5月某日、連休中は帰省客や送迎車で混雑していたJR新富士駅も、いつもの落ち着きを取り戻していた。昨年11月に商業施設「アスティ新富士」が開業し、この春には富士山口(北口)駅前広場の再整備事業が完了したことで、以前よりもすっきりと洗練された雰囲気がある。そんな新富士駅リニューアル後初の取材となった今回、構内の売店で富士山のポストカードを手にとっていたカップルを難なく発見し、声をかけることに成功した。

ドイツ中東部の町・イエナからやって来たというフロリアン・エルベさん(男性・27歳)とエリザベス・フローベルクさん(女性・34歳)は、2年前に地元で知り合ったという恋人同士。旅行好きな二人は今回、30日間の長期休暇を丸ごと使って日本を旅しているという。会社員が1ヵ月間の海外旅行、このコーナーの取材ですいぶん慣れたとはいえ、たったの10連休でお祭り騒ぎになった日本と比べると、改めて文化風習の違いを感じずにはいられない。

二人とも初来日とのことで、30日もあれば全国をほぼ網羅できるのではないかと思うのだが、ルートを聞いてみると意外にも訪問都市は少なく、じっくり滞在派のようだった。長距離移動はすべて新幹線で、東京に計11泊、大阪に6泊、北海道の函館に4泊、そして嬉しいことに、今は我らが富士市に6泊滞在している最中とのこと。これまで何度も新富士駅周辺で取材してきたが、富士市内に連泊中という旅行者に会えたのは初めてだ。バックパッカー向けのゲストハウスに滞在して、大きな荷物は預けたまま、日帰りで富士山周辺を巡っているという。この日も朝からバスで朝霧高原の「あさぎりフードパーク」に行ってきたそうで、富士山を間近に眺めながらのんびりとした時間を過ごせたと嬉しそうだった。また、翌日には白糸の滝を訪れる予定で、フロリアンさんは「富士山周辺が日本旅行で最大のハイライトだと思っているので、明日は天気も良さそうだし、本当に楽しみです」と語ってくれた。また富士市の印象については「静かな雰囲気のきれいな街で、富士山の眺めも最高ですね」と好感触だった。

他に今回の旅行で印象に残っていることを聞いてみると、「大阪の人々」という面白い答えが返ってきた。「日本はどこへ行っても親切な人ばかりですが、その中でも大阪は特別でした。大阪城、道頓堀、箕面(みのお)山など、観光スポットは素晴らしくて、必ず食べたいと思っていたお好み焼きも最高でしたが、何よりもとてもフレンドリーな人々に感動しました」。ちなみにこの時のフロリアンさんの言葉を直訳すると、「大阪では多くの年配の女性が私たちに『あなたの出身はどちらですか?』と頻繁に尋ねてきました」という風になるのだが、これはつまり、「大阪のおばちゃんたちが『なあ、お兄ちゃん、あんたらどっから来たん?飴ちゃんあげよか?』とめちゃめちゃ絡んできてくれた」と理解してほぼ間違いないだろう。

売店で富士山のポストカードを購入して戻ってきたエリザベスさんにも話を伺う。ポストカードはおみやげ用ではなく、家族や友達に宛てて旅先からその都度投函しているという。「同じ富士山の写真なのに、こんなにいろんな風景があって、どれも違った魅力がありますね。たくさん買ったので、これからゲストハウスで書かなきゃ」という言葉が嬉しかった。ただ、ひとつ気になったのが、エリザベスさんが手にしているポストカードがどれも山梨県側からの風景だったこと。もちろん彼女に深い意図はないとは思うが、富士市民としては看過できないところ。ポストカード売り場の棚から「大淵笹場より茶畑と富士山を望む」と書かれた一枚を瞬時に見つけ出し、「これです!これ!この景色を実際に見ることができるのが富士市なんですよ」と鼻息荒く指差す。優しい二人は「おお、素晴らしいですね!」と言ってくれたが、後から考えると、誰がどう見ても典型的な「おせっかいな人」そのものである。

富士山をバックにしたお気に入りの写真を後日メールで送っていただいた

この日エリザベスさんが売店で購入した富士山のポストカードは全12枚

(ライター/飯田耕平)

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