「産後うつ」気づいて!つないで!(3)

黄色い花

産婆の住む街から 第10回

家族が「産後うつ」になったら

産後うつになってしまった女性は、意欲が低下してベッドから起き上がれなかったり、泣いて暗い顔ばかりしていたり、元気づけようと声をかければ逆切れしたり、今までなら考えられないような反応をすることがあります。どうにかしてあげたいのにと一緒に暮らすご家族は戸惑ってしまうかもしれません。そして具合の悪い女性を気遣いながら、赤ちゃんの世話や家事、自分の仕事に追われていると、家族までも具合が悪くなってしまう場合があります。共倒れになってしまうことがないように、今回は一緒に暮らすご家族が産後うつになった場合の生活のコツをお伝えしようと思います。

(1) まず一番大切なことは、専門職の支援につながることです。もしまだご家族だけで抱えている状態でしたら、すぐに地域の助産師や保健師に相談しましょう。受診の手配なども手伝ってくれます。

(2) 次に、今起こっている反応は病気からくる状態であることを、周囲の方はいつも意識して過ごしてください。どんな声かけをしてもネガティブな反応が返ってくるかもしれません。何も言わずに同じ部屋で過ごすだけでも良いのです。でも、一緒にいたくないと言われたら、力になりたいと思っているということだけ伝えてみてください。もしかしたら、その言葉にも反抗的な言葉が投げかけられるかもしれませんが、気持ちは伝わっているはずです。

(3) 産後うつの女性が悩み嘆いていることは、健康な人から見たらとても些細なことかもしれません。理由を述べて、そんなこと気にすることはないと正論を言っても解決できません。訴えている出来事に反応するのではなく、不安な気持ちを受け止めるように努力します。例えば、「さっき赤ちゃんが泣いていた。どこか痛いのかもしれない。心配で仕方がない」と訴える場合、「顔色も良いし、今は泣き止んでいるので大丈夫だよ」と返答しても納得はしないでしょう。「どこか痛いのではないかと心配になってしまったんだね。赤ちゃんが泣くのを見ているのは辛かったね」と、どんな気持ちだったかに反応するように心がけます。

(4) 心に余裕をもって産後うつの方を見守るために、産後ケアや訪問看護などの仕組みをうまく使って、ご家族が家事や育児に追われすぎない環境を整えましょう。ご家族自身の心と身体を整えることが必要です。大切な人が苦しむ姿を見て、どうにか力になりたいと思うのは自然なことですが、いつも以上にご自身の心のSOSに敏感になってください。

そして辛くなっている自分を見つけたら、1でつながった支援者に伝えましょう。

(5) 焦ってはいけません。「頑張れ!」は禁句といわれています。まずは一日一日を淡々と積み重ねていきましょう。

 

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堀田久美プロフィール

堀田 久美

菜桜助産所代表 助産師・保健学博士
ほった くみ/富士市宮島で助産所を営み、出産・産後ケア・育児相談から、更年期 以降の女性の健康管理まで、出産を経験する女性の一生をサポート する「ママたちのお母さん」。母親のための各種教室も随時開催中。
菜桜助産所
訪問看護ステーション菜桜

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